2020年 09月 26日
大正天皇御製漢詩と南北朝〜『北畠親房』〜
|
最近、あわよくばシリーズ化しようともくろんでいる「大正天皇御製漢詩と南北朝」。
関連記事:
「大正天皇御製漢詩と南北朝『芳野懐古』〜吉野は日本漢詩の定番〜」
「大正天皇御製漢詩と南北朝〜『金崎城趾』 名将・義貞を讃える〜」
今回は、後醍醐天皇崩御の後に南朝の柱石となった北畠親房を題材にした漢詩を取り上げます。
北畠親房
干戈滿地暗風塵
著述千秋筆有神
顚沛不移心若鐡
能明大義古忠臣
干戈 地に満ち 風塵暗し
著述千秋 筆に神有り
顚沛 移らず 心鉄の若し
能く大義を明らかにす 古の忠臣
(ともに石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店 247頁)
〈超意訳〉
戦乱が地上に満ちて世の中が暗くなっても。
そんな中で親房が記した『神皇正統記』には、その筆致に人智を超えた力がある。
たとえつまづき倒れようと、親房の精神は揺らぐ事なく鉄のように堅固だ。
このような古の忠臣だからこそ、朝廷第一という大いなる道を明らかにし得たのだろう。
平仄及び押韻は下記の通り。○が平声、●が仄声、◎は韻脚になります。平仄を始めとする漢詩の規則については、こちらをご参照ください。こちらのサイトも参考にしました。
関連サイト:
「平仄くん」(http://kanshi.work/pinyin/index.php)
○○●●●○◎
●●○○●●◎
○●●○○●●
○○●●●○◎
韻脚は「塵、神、臣」の上平声十一真。
以下は、語句解説です。
・干戈
武器、武力、戦争。干は盾(たて)、戈は矛(ほこ)をさす。
・風塵
俗世間、戦乱。
・著述
ここでは、親房が関東で記した歴史書『神皇正統記』を指すと思われる。日本建国の由来から説き起こし、南朝の正統性を主張した。
・千秋
非常に長い年月。
・神
人智で計り知れない不思議なはたらき、精神。
・顚沛
つまづき倒れる事。
・大義
ここでは、朝廷第一とする国家のありようを指すか。
【参考文献】
石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『世界大百科事典』平凡社
『大辞泉』小学館
『大辞林』三省堂
『角川新字源改訂版』角川書店
新田大作『漢詩の作り方』明治書院
菅原武『漢詩詩語辞典』幻冬社ルネッサンス
「日本漢字能力検定 漢字ペディア」(https://www.kanjipedia.jp)
関連記事:
by trushbasket
| 2020-09-26 12:45
| NF








