2020年 10月 03日
大正天皇御製漢詩と南北朝〜『望金剛山有感於楠正成』 やはり定番は楠公さん〜
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ここしばらく続けている、大正天皇御製南北朝漢詩シリーズ(?)。今回の主題は、南北朝最大のスターというべき楠木正成となります。正成が籠城し鎌倉方の大軍を翻弄した千早城、金剛山を題材にした詩を今回は取り上げます。
望金剛山有感於楠正成
金剛嵂崒勢何豪
絶頂浮雲想白旄
絶代忠臣憑大義
偉勲長與此山高
金剛 嵂崒 勢い何ぞ豪なる
絶頂の浮雲に白旄を想う
絶代の忠臣 大義に憑る
偉勲 長えに此の山と高し
(ともに石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店 261頁)
〈超意訳〉
金剛山が険しく聳え立つ様は、何と抜きん出ている事か。
その高い頂に浮かぶ雲を見ると、かつて楠木正成が籠城した際の白い軍旗を連想する。
絶世の忠臣というべき正成は大義にのっとって挙兵したのであり、
その偉大な功績は永久にこの山と同様に高く輝いている。
平仄及び押韻は下記の通り。○が平声、●が仄声、◎は韻脚になります。平仄を始めとする漢詩の規則については、こちらをご参照ください。こちらのサイトも参考にしました。
関連サイト:
「平仄くん」(http://kanshi.work/pinyin/index.php)
○○●●●○◎
●●○○●●◎
●●○○○●●
●○○●●○◎
韻脚は、「豪、旄、高」の下平声四豪。
以下は、語句解説です。
・金剛山
奈良県と大阪府の境にある標高1125メートルの山。西麓の千早城にて楠木正成は籠城し鎌倉軍を翻弄した。
・嵂崒
高く険しい様子。
・豪
抜きん出ている。
・旄
飾りのついた旗、もしくは旗全般。
大正天皇による南北朝漢詩の中でも、やはり最も題材にされたのはこの楠木正成でした。やはり、と申し上げるべきでしょうか。他の正成を主題にした詩も、折に触れて取り上げて参ります。
【参考文献】
石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『世界大百科事典』平凡社
『大辞泉』小学館
『大辞林』三省堂
『角川新字源改訂版』角川書店
新田大作『漢詩の作り方』明治書院
菅原武『漢詩詩語辞典』幻冬社ルネッサンス
「日本漢字能力検定 漢字ペディア」(https://www.kanjipedia.jp)
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by trushbasket
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