炉開には「さんべ」なんだそうで〜織部、瓢、伊部〜
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茶の湯の世界では、旧暦十月一日またはその月の亥の日に夏用の風炉を片付け冬用の炉を開く、「炉開」を行う事になっています。この時には、茶壷に保存していた新茶の封を切り、臼で抹茶にして客に振る舞います。これを「口切の茶事」といい、茶人の正月なんて言われたりもするそうで。
さて、この口切では、茶道具の取り合わせで「三部」(さんべ)と呼ばれるセットが選ばれるのが通例だとか。すなわち、織部(おりべ)、瓢(ふくべ)、伊部(いんべ)。
関連サイト:
「季節を愛でる」(http://blog.kisetsu-o-mederu.com)
「炉開きのお約束:三部【おりべ・ふくべ・いんべ】」(http://blog.kisetsu-o-mederu.com/?eid=1264495)
織部とは織部焼、瓢とは瓢箪や夕顔で作った器、伊部とは備前焼を意味します。
織部焼は、瀬戸焼の一種で織豊期の茶人・古田織部の指導で生まれたとされています。簡素な絵文様を描き青緑の釉薬をかけたものが典型的で、文様や器形は多種多様。織豊から徳川初期にかけての作品に優れたものが多いそうです。
瓢は夕顔の一種、もしくは瓢箪。皮が硬い事からくり抜いて容器として用いられます。
備前焼(伊部)は、備前(今の岡山県東部)で製作される陶器。伊部(備前市伊部)で主に製作される事から伊部焼とも呼ばれます。現地で産出する流紋岩の土を原料として、釉薬を用いず鉄分の多い化粧土を表面に塗って黒みがかった色合いになるのが特徴です。表面は火や窯の状況によって様々な表情を見せ、そうした状態にもそれぞれ名称がつけられ愛でられています。古墳時代の須恵器製作に源流を持ち、十四世紀頃からは甕や壺など日用品が中心となりました。織豊期になると茶器として評価されるようになり徳川期には岡山藩が御用窯を設置し花器や茶器などを生産するようになりました。
「茶人の正月」らしい験担ぎなのでしょうか。こうした要素にも、茶の湯が何を重んじてきたか、の歴史が窺えて興味深いです。
【参考文献】
松村栄子『雨にもまけず粗茶一服』マガジンハウス
『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』ロゴヴィスタ
『日本大百科全書』小学館
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『大辞泉』小学館
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