野外での茶の湯「野点」について〜やり方次第では三密を避け換気も良好?〜
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残念ながら、COVID19(新型コロナウイルス感染症)は収束どころか我が国を含め各地で新たに拡大している様子。茶の湯の世界も、おそらくは大きな影響を余儀なくされていそう。何しろ茶室内部は、いわゆる「三密」になるリスクがどうしても高くなりますから。
では、「三密」を回避し換気も良好になるような趣向はないのか。開放した広い部屋で少人数による席を設けるのも一つの答えかもですが、今回は野外に茶席を設える「野点」にスポットを当ててみようかと思います。野外で少人数、十分な距離をとって対面は避けて会話は控えめ、茶を飲む時以外はマスクをつけて…。ひょっとしたら、これなら何とかいけなくもないかも。…まあ、これからの季節は寒くなりそうなのでその辺りが難点ですが。という訳で、今回は野点の話。
野点とは、屋外で茶をたてる事。昔は野外での遊覧を野懸と称した事から、野懸茶とも言ったそうです。松葉を燻べて釜をかけるので「ふすべ茶の湯」なんて呼ぶこともあるとか。
『南方録』によれば、豊臣秀吉の九州遠征に同伴した千利休が大善寺山や箱崎の松原で野外茶会を催したのが始まりとされているようです。風の音や煙の様子が興深かったとして秀吉はこの創意を褒め称えたとか。ただし、周りの景色に主客の心を移らせず茶に集中させなければならない、と利休は注意を促しています。
しばしば赤い毛氈と傘が用いられる事がありますが、これは北野大茶会で丿貫が赤い傘を用いて野点席に華やかなハレの雰囲気を醸し出し秀吉を始めとした人々の感銘を呼んだ事に由来するようです。
野点に用いる道具は、茶箱や茶籠といった容器にコンパクトに収納された携帯用を用いる事もしばしばです。茶箱専用の点前なんてのもあったりで、これも非日常気分を醸し出してくれそう。
近代以降は、「立礼」が用いられる事が多くなりました。立礼とは点茶盤(テーブル)に道具立てを置いて亭主は椅子に座って点前をする形式。裏千家十一世である玄々斎が外国人をもてなす事も念頭に置いて作り出したものだといいます。客も同じく椅子に腰掛けて茶を飲む事になります。基本的には風炉(つまり夏仕様)の薄茶点前に準じた手順が定められているそうです。
裏千家だけでなく様々な流派がそれぞれに立礼点前を生み出しており野点ではそれを楽しむことが出来るようです。個人的には「御園棚」を用いた点前をよく見る印象です。
関連サイト:
「水の茶の湯の徒然」(http://kinohana2.blog62.fc2.com/)より
「立礼 御園棚」(http://kinohana2.blog62.fc2.com/blog-entry-285.html)
茶の湯を楽しむにも、なかなかままならない時節です。それでも屈する事なく、茶の湯だけでなく生活を、そして人生を楽しむ術は探っていきたいものです。
【参考文献】
西山松之助校注『南方録』岩波文庫
『A&F COUNTRY総合カタログ 2016』CLAP
千宗室『茶箱点前全伝』淡交新社
『日本大百科全書』小学館
『大辞泉』小学館
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