2021年 02月 13日
「五大院」とは〜元来は叡山の塔頭、明王由来?五元素?〜
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週刊少年ジャンプに連載中の漫画『逃げ上手の若君』。なんと北条時行を主人公として南北朝を舞台にしているというのもあって、注目しています。さて、第二話・第三話には、五大院宗繁なる人物が登場。
コトバンクの『日本人名大辞典』でも彼の項目はありますが、ネタバレを最小限にするためリンクを貼るに留めます。
関連リンク:
「コトバンク」(https://kotobank.jp/)より
まあ何と言いますか、いわゆる「生涯の最後、全期間の一パーセントに満たぬ時期の行動によって、それまでの生涯と功績がすべて否定されてしまうという、不幸な人間たちの群像」(田中芳樹『銀河英雄伝説 9 回天篇』徳間ノベルス 197頁)の一人とはいえるのかも。
しかし残念ながら、五大院宗繁の「五大院」が何に由来したのか、それもわかりませんでした。分からない事ばかりです。得宗被官らしい事は分かるんですけどね…。
とはいえ、せっかくインパクト強いキャラが出てきましたし、便乗して話を(無関係かつ明後日な方向になりそうですが)広げてみようかと思う次第。
この「五大院」なる言葉、他では余り見ない気はします。そこでコトバンクで検索した所、引っかかってきたのは平安期の天台僧である安然なる人物。
安然(841-?)は最澄と同族な家に生まれ、比叡山で円仁に、元慶寺で遍照に師事しました。渡唐を志した事もありましたが、果たせずに終わっています。元慶八年(884)に元慶寺座主、伝法阿闍梨に任じられました。以降は伝法と著作の日々の中で『悉曇蔵』『教時諍論』『教時問答』『普通授菩薩戒(ぼさつかい)広釈』などを著し、天台密教(台密)の大成者とみなされています。阿覚大師とも称されます。
叡山五大院に住まいした事から五大院大徳、五大院先徳などと呼ばれたりもするようです。
この「五大院」なる名称の由来ですが、あるいは「五大明王」を崇める謂でありましょうか。「五大明王」とは不動明王を中心として四方の魔を抑え込む仏法の守護神で、密教で重んじられています。中央が不動、東が降三世(ごうさんぜ)、南が軍荼利(ぐんだり)、西が大威徳、北が金剛夜叉だそうで。
不動明王は魔を祓い災を退け煩悩を断ち切り行者を守る存在だそうで。右手に剣、左手に縄を持ち炎を背負った姿で表現されます。
降三世明王は貪瞋痴の三毒を祓う存在とされ、三眼で四面八臂として表される事が多いようです。
軍荼利明王は悪を退け人々の心に良い性質を起こし育むとされ、四面四臂あるいは一面八臂で多くの蛇が絡みつく姿で表されています。
大威徳明王は毒蛇や毒龍など人々を害する存在を征服するとされ、六面六臂六足で水牛に乗った姿で表現されます。
金剛夜叉明王は全ての悪を喰らい尽くすとされ、三面六臂で表されます。
これら五大明王を祀る仏堂を五大堂と称しますので、「五大院」も同様に明王への尊崇を表した名称なのかも。密教ですし。そうは思ったのですが、調べた範囲でははっきりした事は分かりませんでした。
仏教における「五大」には、地大、水大、火大、風大、空大という世界を構成する五元素を意味する事もあるそうで。あるいは、そちら由来の命名かもしれません。
とはいえ、五大院宗繁やその一族と安然の関係も分からなければ、五大院氏の苗字の由来も叡山五大院の名の由来も明らかになりませんでした。…ええんかしらん、こんなんで。まあ、良いとします。
【参考文献】
『大辞泉』小学館
『日本人名大辞典』講談社
『朝日日本歴史人物事典』朝日新聞出版
『日本大百科全書』小学館
『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』ロゴヴィスタ
永井晋『金沢北条氏の研究』八木書店
田中芳樹『銀河英雄伝説 9 回天篇』徳間ノベルス
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※2021/2/14 誤字修正、加筆。
by trushbasket
| 2021-02-13 16:22
| NF








