2021年 03月 28日
大正天皇御製漢詩「春暖」〜いよいよ、春本番〜
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COVID-19(新型コロナウイルス感染症)やら色々と世の中ありますが、今年も春本番になってきました。今回も、大正天皇御製漢詩を取り上げたいと思います。今回のお題は、皇太子時代の明治四十年に作られた『春暖』という詩です。まあ、春初頭といった内容なので、少し今味わうには遅いのかもですけれど。
春暖
頓覺今朝春暖生
林園處處見遷鶯
山茶花赤梅花白
淡日和風適我情
頓に覚ゆ 今朝 春暖の生ずるを
林園 処処 遷鶯を見る
山茶花赤く 梅花白し
淡日和風 我が情に適う
(石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店 74頁)
〈超意訳〉
今朝にわかに春が来て暖かくなっているのに気がついた。
木が生い茂る庭のあちこちで、鶯が飛びうつっているのが見える。
サザンカの花は赤く咲き、梅の花は白くてコントラストを成している。
淡い日差しとのどかな風は、私を心地よくしてくれる。
平仄及び押韻は下記の通り。○が平声、●が仄声、△はいずれも可、◎は韻脚になります。平仄を始めとする漢詩の規則については、こちらをご参照ください。こちらのサイトも参考にしました。
関連サイト:
「平仄くん」(http://kanshi.work/pinyin/index.php)
●●○○○●◎
○○●●●○○
○○○●○○●
○●○○●●◎
韻脚は「生、鶯、情」の下平声八庚。
以下、語句解説です。今回は、わかりやすいものが多いとは思いますけど。
・頓
にわかな、急な。
・春暖
春の暖かな陽気。
・林園
樹木の茂った庭園。
・遷鶯
ウグイスが谷間の巣を出て木に飛び移る事。「鶯遷」という言葉は、ここから転じて「科挙で進士に及第する」「世に出て立身出世する」という意味を持つようになった。
・山茶花
ツバキ科の常緑樹で、「さんさか」から名称が転化。種から油を取る他、庭園の観賞用としても広く植えられる。茶梅、ひめつばき、といった別称も。
・和風
ここでは「日本風」という意味ではなく、「穏やかな風」。春の風を表す。
【参考文献】
石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『日本大百科全書』小学館
『世界大百科事典』平凡社
『大辞泉』小学館
『大辞林』三省堂
『角川新字源改訂版』角川書店
新田大作『漢詩の作り方』明治書院
菅原武『漢詩詩語辞典』幻冬社ルネッサンス
「日本漢字能力検定 漢字ペディア」(https://www.kanjipedia.jp)
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