2021年 06月 14日
大正天皇御製漢詩『插秧』〜田植えの一首〜
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田植えも終わり、日ごとに夏らしくなってきていますね。今回は、大正天皇御製漢詩で田植えを題材にしたものを取り上げます。大正六年(1917)に詠まれた一首です。
插秧
水田千畝雨聲中
男女插秧西又東
農事由來國之本
陰晴兩順願年豐
水田千畝 雨声の中
男女 秧を插す 西又た東
農事 由来 国の本
陰晴両順 年豊を願う
(石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店 290頁)
〈超意訳〉雨音が響く、広い水田の中で。
男女があちこちで苗を植えている。
農業というのは昔から国の根本。
天候も順調にいき、豊作になってほしいと願うばかりだ。
平仄及び押韻は下記の通り。○が平声、●が仄声、△はいずれも可、◎は韻脚になります。平仄を始めとする漢詩の規則については、こちらをご参照ください。下にあるサイトも参考にしました。
関連サイト:
「平仄くん」(http://kanshi.work/pinyin/index.php)
●○○●●○◎
○●●○○●◎
○●○○●○●
○○●●●○◎
韻脚は「中、東、豊」の上平声一東。
以下は、語句解説。
・千畝
大変に広い、といったニュアンスか。「畝」は日本・中国の土地面積単位。
・插秧
田植え、早苗の植え付け
・西又東
西でも東でも。あちこちで。
・農事
農業に関する仕事
・由来
昔から
・陰晴
曇りと晴れ
以前にご紹介した「梅雨」同様、豊かな実りを祈る、帝王の詩に相応しい内容の作品といえそうです。
【参考文献】
石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『日本大百科全書』小学館
『世界大百科事典』平凡社
『大辞泉』小学館
『大辞林』三省堂
『角川新字源改訂版』角川書店
新田大作『漢詩の作り方』明治書院
菅原武『漢詩詩語辞典』幻冬社ルネッサンス
「日本漢字能力検定 漢字ペディア」(https://www.kanjipedia.jp)
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by trushbasket
| 2021-06-14 00:09
| NF








