2021年 09月 11日
「重陽の節句」について〜改めて概要をまとめてみた〜
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三月三日が桃の節句、五月五日が菖蒲の節句。これは今日でも広く知られています。しかし、九月九日も節句である事は、世間的にはあまり大きく取り上げられない印象です。
まあ、このブログに来てくださる方はご存知の方も多いとは思いますが。今回、僕自身のおさらいも兼ねて、重陽の節句について百科事典レベルの概要をまとめてみようかと。
「重陽」とは、「陽数」(奇数)を重ねる事。(一桁の)奇数の極みである九が二つ並ぶ事から、この呼称があるのだそうで。同じ理由から「重九」なんて言われたりもします。菊の季節なので「菊の節句」とも。のちの女房詞では「翁草の祝い」とも称したようです。
中国では、この日を吉日として茱萸(※)の実を入れた赤い袋を持って山に登り菊の花弁を浮かべた酒を飲む習慣が漢代に定着。菊は霊薬とされ、長寿の効能があると信じられていたのです。やがて朝廷でこの日に宴が催され詩を賦すようになりました。定着したのは五代期のようです。
これが日本にも伝わり、天武天皇十四年(685)を初例として平安初期以降は宮中行事の一貫となりました。嵯峨天皇はこの日に神泉苑で文人たちと宴をして詩を作らせ、淳和天皇の御世以降は紫宸殿で宴が行われるようになったとか。これを「九日の宴」「菊の宴」と称しました。宴で作られるのは基本的に漢詩文ですが、和歌が詠まれた事例もあるようです。
※ 茱萸…呉茱萸(ミカン科の落葉小高木、紫紅の果実は利尿薬となる)もしくは山茱萸(ミズキ科の落葉小高木、果実は滋養強壮効果があるとされる)。
徳川期にはこれが民間にも広まり、菊を浮かべた風呂に入ったり、乾燥した菊の花弁を詰めた枕で眠るなどの風習が見られるようになりました。また、この日を尊んで「お九日」(おくんち)と呼んでこの時に秋祭をする地域も見られたそうです。
【参考文献】
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『世界大百科事典』平凡社
『大辞泉』小学館
『知恵蔵mini』朝日新聞出版
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by trushbasket
| 2021-09-11 15:31
| NF








