冬の点前「筒茶碗」~実際には年明け後なイメージですが~
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夏の暑い盛りには底の浅い平茶碗を用いた点前をする、というお話をいつぞやは到したかと思います。今度は逆に、寒い時期にその時期用の茶碗を用いた点前の話をば。
極寒の時期には、底の深い筒状をした「筒茶碗」を用いた点前が好まれるそうです。深いから熱が逃げにくい、という事でしょうね。具体的には年が明けて一月二月くらいのイメージですが。
この時、茶巾をたたまず絞ったままで茶碗に茶筅・茶杓と共に組む「絞り茶巾」という作法が用いられます。棗や茶杓を帛紗で清めた後、茶巾は絞ったままで釜の蓋に置き、茶筅通しのお湯を茶碗に入れてから改めて茶巾を畳み釜の蓋に戻す。それから改めて茶筅通しをする。そうすれば、その間、お湯が筒茶碗の中に留まっていますからその分だけ茶碗が温まる。そういう心遣いなんだそうで。
さて、この筒茶碗を用いた絞り茶巾の点前、いつ頃まで遡れるのか。恥ずかしながら手元の資料でははっきりした事はわかりませんでした。ただ、「利休百首」の二十一番目に
筒茶碗深き底よりふき上り重ねて内へ手をやらぬもの
とありますから、かなり早い段階で筒茶碗の点前が存在した事は確かだと思います。まあ実のところ、「利休百首」は利休の教えと伝承されているものの現在の形にまとめられたのは裏千家十一代玄々斎の時代だと言われていますけれども。とはいえ、「利休黒茶碗」と称される利休時代と推定される筒茶碗が無きにしも非ずとのこと。利休時代かそれに近い時期にまで筒茶碗ならびにそれを用いた点前(現代と同様かはともかく)の歴史が遡れない事はなさそうです。
【参考文献】
『くらべて覚える風炉の茶道具 炉の茶道具』淡交社
淡交社編集局編『利休百首ハンドブック』淡交社
磯野信成『陶器全集6 長次郎・光悦』平凡社
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