2021年 12月 05日
「茶通箱」〜二種類の茶を用いる、秘伝の点前?〜
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茶の湯の世界には、「茶通箱」なる箱を用いる点前があるそうです。何でも、二種類の茶(基本は濃茶)を同時に客にすすめる際に用いるのだとか。この箱、元来は宇治の茶商が注文品を入れて運んだり、お茶を贈答する際に用いるものだったのか。それがいつしか、点前に用いる茶道具となったようで。現在はこの点前、表千家・裏千家とも伝授物として扱われています。それだけに詳細が書かれた書物は見つけられていない状況。なので、この記事でも余り詳しい事はご紹介できる状況ではありません。ご容赦。
この茶通箱について『南方録』が言及しているところを見ると、
人の方へ茶ををくる時、持参することもあり、先だつて持せつかはすこともあり。濃茶うす茶両種も、またこい茶一種も、またこい茶ばかり二種も、それぞれの心もち次第なり。茶入もこい茶を秘蔵のものにも入る。またあらものにも心持しだいなり。うすちゃは棗、中次の類なり。箱は桐にて、蓋はさん打なり。緒は付けず、白き紙よりにて真中をくくりて封をする。(西山松之助校注『南方録』岩波文庫 239頁)
などとあります。少なくとも『南方録』が書かれた時期には、濃茶二種とは限らなかったようですね。『日本社会事彙』でも、客が茶を持参した時や、新茶と古茶の組み合わせ、濃茶と薄茶の取り合わせがあり得ると書かれています。ただし、客が急ぎの時は濃茶と薄茶でよい、とも書かれているのでこの辞典が編纂された近代には原則は濃茶だったと見て良さそう。
『古事類苑』に引用された様々な書物には、利休好の茶通箱とか、利休が人に贈った茶通箱とか出てきますから、利休の時期には少なくとも茶を贈るのには使用されていたという事なんでしょうな。で、『南方録』の書かれた時期には点前にも用いられている。そんなところのようです。
大きさは、おおよそ五寸七分、三寸一分くらいだとか。一尺は前近代のくじら尺だと3.79cm程度、十分で一尺だそうです。なので、21.6cmと11.74cmくらいと考えておけば良いのでしょうか。
秘伝とか伝授とか、茶の湯の世界も本当に奥が深い。僕が覗き得たのは、ほんの入口だけなんだなあ、と実感しています。
【参考文献】
『精選版 日本国語大辞典』小学館
西山松之助校注『南方録』岩波文庫
筒井紘一『現代語でさらりと読む茶の古典 南方録(覚書・滅後)』淡交社
『古事類苑 遊戯部』神宮司庁
『日本社会事彙 下巻』経済雑誌社
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関連サイト:
「朝日茶道教室」(https://shimono.exblog.jp/)より
「お稽古風景(55)…「茶通箱」【炉】」(https://shimono.exblog.jp/27593435/)
「お稽古風景(31)…「茶通箱」【風炉】」(https://shimono.exblog.jp/19812949/)
調べてみたら、結構親切に解説してくれているサイト様が。
by trushbasket
| 2021-12-05 16:46
| NF








