2022年 01月 09日
御製漢詩「人日」〜今度は後光明天皇〜
|
年が明けてしばらくたち、七草粥の時期も過ぎました。昨年は七草粥を題材にした大正天皇御製漢詩を取り上げましたが、今回は同様に「人日」の節句を題材にした後光明天皇の御製漢詩を題材にしようかと。
後光明天皇(1633-54 位1643-54)は皇統譜第百十代天皇で、後水尾天皇の皇子。名は紹仁(つぐひと)。明正天皇の譲りを受けて位についた。御製の詩歌は『鳳啼集』に編纂されています。今回とりあげる御製は、以下の通りです。
人日
人日多陰愜素聞
凍雲寒雨總紛紛
一椀生菜一樽酒
强祝千祥到夕曛
人日多陰 素聞に愜う
凍雲寒雨 総て紛紛
一椀の生菜 一樽の酒
強いて千祥を祝りて 夕曛に到る
(石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店 133頁)
〈超意訳〉
人日は曇りがちだとかねて聞いていたが
雪を含んだ雲が立ち込め冷たい雨がしきりである。
そんな中でも一椀の七草と一樽の酒で、
めでたい事よ多かれ、と切に祈っていると夕方になった。
平仄及び押韻は下記の通り。○が平声、●が仄声、△はいずれも可、◎は韻脚になります。平仄を始めとする漢詩の規則については、こちらをご参照ください。下にあるサイトも参考にしました。
関連サイト:
「平仄くん」(http://kanshi.work/pinyin/index.php)
○●○○●●◎
●○○●●○◎
●●○●●○●
△●○○●●◎
絶句なら二文字目が●○○●となるべきところ、そうなっていない辺りから、古詩と見るべきでしょうか。韻脚は「聞、紛、曛」の上平声十二文。
以下は語句解説です。
・多陰
ここでは「陰」は日の差さない、暗いといった意味。曇りが多い。
・愜
「かなう」。匹敵する。適合する。
・素聞
ただ聞くこと。
・凍雲
雪を含んだ雲。
・紛紛
入り混じって乱れる。
・生菜
ここでは、一月七日の七草をさす。
・強
ここでは、「一途に、ひたむきに」の意か。
・祝
ここでは、「神を祀って願い事をする事」の意味となる。
・千祥
数多くのめでたい事。「祥」とは喜ばしい事
吉兆の意味。
・夕曛
夕陽の光。「曛」は残照のこと。
【参考文献】
石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『日本大百科全書』小学館
『世界大百科事典』平凡社
『大辞泉』小学館
『大辞林』三省堂
『角川新字源改訂版』角川書店
新田大作『漢詩の作り方』明治書院
菅原武『漢詩詩語辞典』幻冬社ルネッサンス
「日本漢字能力検定 漢字ペディア」(https://www.kanjipedia.jp)
関連記事:
by trushbasket
| 2022-01-09 16:19
| NF








