2022年 04月 16日
旋頭歌とは〜馴染みのない和歌の形態〜
|
「旋頭歌」というのをご存知でしょうか。辞書的な説明によると、五七七五七七という形式の和歌の事だそうです。
元来は民謡で五七七の掛け合いを二人で行っていたのが、一人でこの形を作るように発展したとされているようです。「頭」(上三句)を「旋らす」事からこの名があるとも言われますが異説もあるそうです。「双本」「混本」という呼称もあったとか。
『古事記』『日本書紀』に二首づつあり『万葉集』に六三首。記載文芸に発展したのは柿本人麻呂の時期だとされ、実際、彼のものとされる作品が多数を占めるそうです。
ただし、旋頭歌が個人の作品、記載文芸として隆盛した期間は短く、『古今和歌集』『拾遺和歌集』になると四首づつにとどまります。
鎌倉時代に編纂された『新勅撰和歌集』第二十 雑歌にも旋頭歌と称された歌が収載されていますが、上述した形式と厳密には異なるようです。
権中納言通俊かつらの家にて旋頭歌よみ侍けるに恋の心をよめる
俊頼朝臣
つれなさを おもひあかしの うらみつつ あまのいさりに たくものけふり 面かけにたつ
〈超意訳〉恋しき人がつれないことを恨みに思いつつ夜を明かしていると、明石の浦で漁師が炊く漁火の煙が目の前に見えるかのように、あの人の面影が目に浮かぶ。
家に人々まうてきて旋頭歌よみ侍けるに旅の心をよめる
藤原顕綱朝臣
草まくら ゆふ露はらふ たひ衣 袖もしほほに をきあかす夜の 数そかさなる
〈超意訳〉
旅の宿りで、旅装束に結ぶ夕方の露を払うと、袖がぐっしょり濡れてしまった。思えば、旅の侘しさから涙でこのように袖を濡らしつつ眠れず明かした夜の数もすっかり増えたことだなあ。
いずれも五七五七七七。一度廃れて忘れられ形式が誤って伝わった(もしくは変形した)のか、元来こうした形もありだったのか。詳細をご存知の方がおられたらご教示ください。
【参考文献】
『日本大百科全書』小学館
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『新勅撰和歌集 下』吉田四郎右衛門尉刊行
関連記事:
by trushbasket
| 2022-04-16 21:00
| NF








