2022年 04月 23日
大正天皇御製漢詩『採春蔬』
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四月も下旬となり、夏を思わせる気候の日も増えてきました。という訳でまだ春のうちに、春を題材にした大正天皇御製漢詩を取り上げようかと思います。今回のお題『採春蔬』は明治四十二年の作。
採春蔬
昨雨霏微路絶塵
春晴催暖適人身
攜妃手自摘香菜
充膳方知勝八珍
昨雨霏微として 路に塵絶え
春晴暖を催して 人身に適う
妃を携え 手 自ら香菜を摘む
膳に充てれば方に知る 八珍に勝るを
(石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店 97頁)
〈超意訳〉
昨日は雨が細かくパラパラと降ったせいか、道は塵が綺麗に洗い流されている。
春の晴れた日は暖かく、人が過ごすには良い具合だ。
妃を連れて自らの手で良い香りのする春の菜を摘んで、
食用にしたところ万の珍味にも勝る美味であるとわかった。
平仄及び押韻は下記の通り。○が平声、●が仄声、△はいずれも可、◎は韻脚になります。平仄を始めとする漢詩の規則については、こちらをご参照ください。下にあるサイトも参考にしました。
関連サイト:
「平仄くん」(http://kanshi.work/pinyin/index.php)
●●○○●●◎
○○○●●○◎
○○●●●○●
○●○○△●◎
韻脚は「塵、身、珍」の上平声八真。
以下、語句解説です。
・春蔬
春野菜。「蔬」とは食用となる草本類の総称。
・霏微
雨や雪、花びらなどが細かく降る様子。
・香菜
辞書的にはコリアンダーを指す。ただしここでは、「香りの良い若菜」といったニュアンスで解釈すべきかと。
・方
「まさに」と読み、「まさしく、間違いなく」といったニュアンスになる。
・八珍
数多くの珍味。具体的な内容として牛・羊・麋(トナカイ)・鹿・麕(くじか、シカ科の哺乳類)・豕(イノシシの子)・狗・狼などが挙げられる事もあるが異説もある。
【参考文献】
石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『日本大百科全書』小学館
『世界大百科事典』平凡社
『大辞泉』小学館
『大辞林』三省堂
『普及版 字通』平凡社
『動植物名よみかた辞典 普及版』日外アソシエーツ
『角川新字源改訂版』角川書店
新田大作『漢詩の作り方』明治書院
菅原武『漢詩詩語辞典』幻冬社ルネッサンス
「日本漢字能力検定 漢字ペディア」(https://www.kanjipedia.jp)
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