また、風炉の季節が近くなりました
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数年前にも触れたかもですが、茶の湯の世界では五月を目処に風炉を用いた夏仕様の点前に切り替わるようです。風炉とは、上に釜をかけ湯を沸かすための火鉢状道具で、いわば携帯式炉、といったところ。
元来は中国の鼎同様な形で、陸羽『茶経』にも記載があるそうです。銅や鉄を鋳物として作り、三本足で三箇所に風通し穴があいていたとか。
これが日本に伝来したのは十三世紀半ば、中国で修行した臨済僧・南浦紹明が台子(書院で茶をたてる為の棚の一種)を用いた茶道具一式を持ち帰った中に含まれていたそうです。日本ではやがて、釜が口いっぱいにかかる形の「切掛風炉」を用いるようになっていきました。唐銅(青銅)や鉄で作られ、前後に窓がつくのが基本です。
やがて茶の湯が発展し釜の形も多様化するに従い、風炉もそれに応じて様々な展開を見せていきます。代表的なものは、武野紹鴎が奈良の職人に作らせた土風炉。土を焼いて作り、中に五徳を据えてその上に釜を置くというものでした。因みに五徳とは、鉄製輪の上に鉄の脚三本をつけ、脚の上に釜を置く台のことです。土風炉も多種多様で、形によって透木風炉、紹鴎風炉、尻張風炉、四方風炉、道安風炉などの名称があります。
風炉にも格式があり、「真」(最上)が土風炉、「行」が唐銅風炉、「草」が鉄風炉や板風炉だそうです。
ちなみに板風炉とは、杉などの木の板を方形に組み、上面に穴を開けて五徳なしでも釜を据えられるようにしたもの。豊臣秀吉の小田原遠征に従軍した千利休が陣中で考案したと伝承される事から、「小田原風炉」とも呼ばれるそうです。
風炉と炉で用いる道具もだいぶ違うようで、例えば籠花入は風炉の季節とされているようです。他にも香合は炉では陶磁器なのに対し風炉は木地や塗物、一閑張など。炭も小さめで炭取は小さく深いもの、灰器は浅く小振なもの。釜も炉よりは小振になり、竹蓋置も節切りに。全体的に炉の時より淡白な道具が好まれるそうです。
【参考文献】
『世界大百科事典』平凡社
『日本大百科全書』小学館
『精選版 日本国語大辞典』小学館
三味著『茶道歳事記』晃文社
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