2022年 05月 15日
大正天皇御製漢詩『薫風』〜初夏の五言絶句その2〜
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雨続きで、早くも梅雨か、とも思われるこの頃。いかがお過ごしでしょうか。今回のお題は先週と同じく初夏を題材にした大正天皇御製漢詩『薫風』。前回同様、大正六年(1917)の五言絶句です。
薰風
薰風吹百草
原上綠靑靑
樹下行人息
鳥聲閒可聽
薫風 百草を吹き
原上 緑青々
樹下 行人息い
鳥声 間に聴くべし
(石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店 288頁)
〈超意訳〉
初夏の芳しい風が多くの草を拭きわたり、
野原の上は一面に緑が広がっている。
木の下では道ゆく人が一服して、
静かに鳥の鳴く声を聞いているようだ。
平仄及び押韻は下記の通り。○が平声、●が仄声、△はいずれも可、◎は韻脚になります。平仄を始めとする漢詩の規則については、こちらをご参照ください。下にあるサイトも参考にしました。
関連サイト:
「平仄くん」(http://kanshi.work/pinyin/index.php)
○○○●●
○●●○◎
●●○○●
○○○●◎
韻脚は「青、聴」で下平声九青。
以下、語句解説です。
・薫風
初夏に青葉の間を吹き渡り、緑の香りを運ぶ風。
・青青
一面青い様子。
・行人
旅人、道ゆく人。
・息
ここでは「いこう」と読むようです。「憩う」と同じ。やすむこと、休息。
・間
ここでは「しずか、やすらか」という意味合いか。
【参考文献】
石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『日本大百科全書』小学館
『世界大百科事典』平凡社
『大辞泉』小学館
『大辞林』三省堂
『普及版 字通』平凡社
『動植物名よみかた辞典 普及版』日外アソシエーツ
『角川新字源改訂版』角川書店
新田大作『漢詩の作り方』明治書院
菅原武『漢詩詩語辞典』幻冬社ルネッサンス
「日本漢字能力検定 漢字ペディア」(https://www.kanjipedia.jp)
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by trushbasket
| 2022-05-15 22:18
| NF








