2022年 06月 05日
大正天皇御製漢詩『六月十八日作』
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六月になりました。今回も、この時期を題材にした大正天皇御製漢詩をば。大正三年の御製、題は『六月十八日作』。
六月十八日作
雲黯無由解我顏
雨聲淋瀝響林閒
去年今日猶能記
一路薰風入葉山
雲黯くして 我が顔を解くに由無し
雨声淋瀝 林間に響く
去年の今日 猶お能く記す
一路薫風 葉山に入る
(石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店 180頁)
〈超意訳〉
雲がどんより垂れ込めていて、私の顔も晴れやかになる筈もなし。
雨音がポツポツと林に響いている。
去年の今日の事は、まだよく覚えている。
まっすぐ吹き渡る初夏の風と共に葉山へやって来たのであったよ。
平仄及び押韻は下記の通り。○が平声、●が仄声、△はいずれも可、◎は韻脚になります。平仄を始めとする漢詩の規則については、こちらをご参照ください。下にあるサイトも参考にしました。
関連サイト:
「平仄くん」(http://kanshi.work/pinyin/index.php)
○●○○●●◎
●○○●●○◎
●○○●○○●
●●○○●●◎
韻脚は「顔、間、山」の上平声十五刪。
以下、語句解説です。
・黯
くらい、真っ黒
・由
わけ、理由、いわれ
・解顔
表情を崩す事、笑顔になる事
・淋瀝
淋は「したたる」、瀝は「しずくが垂れる」
・記
ここでは「覚えている、記憶する」の意
・薫風
青葉を吹き渡り緑の香りを運ぶ初夏の風
・葉山
神奈川県三浦半島西岸、相模湾に面する地。明治以降は保養地として知られ、葉山御用邸が建てられた。
【参考文献】
石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『日本大百科全書』小学館
『世界大百科事典』平凡社
『大辞泉』小学館
『中日辞典 第三版』小学館
『大辞林』三省堂
『普及版 字通』平凡社
『動植物名よみかた辞典 普及版』日外アソシエーツ
『角川新字源改訂版』角川書店
新田大作『漢詩の作り方』明治書院
菅原武『漢詩詩語辞典』幻冬社ルネッサンス
「日本漢字能力検定 漢字ペディア」(https://www.kanjipedia.jp)
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