2022年 06月 26日
夏の風物詩「水鶏(くいな)」
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いよいよ夏らしく蒸し暑さが増してきました。夏の風物詩といいますか季語の中に、「水鶏(くいな)」というのがあります。昔の唱歌「夏は来ぬ」でも出てきた覚えが。
とは言え、この頃では季語の中では馴染みある言葉とは言い難いかも。という訳で辞書的な説明をまとめてみました。
水鶏とはクイナ科の鳥の総称、一般的にはヒクイナを指すことが多いようです。ヒクイナは体長20cm強、顔から胸にかけて赤褐色、背中は灰褐色、腹は白く嘴は黒褐色、脚は赤。日本には夏に飛来し水田や湿地で繁殖するそうです。その事からナツクイナとも呼ばれます。夕方から夜にかけてキョッ、キョッという声で鳴く様子が戸を叩く音に似ている事から、この鳥が鳴くのを「たたく」と称するようになりました。
『拾遺和歌集』恋三で
たたくとて やどのつまとを あけたれば 人もこずゑの くひななりけり
〈超意訳〉
戸を叩く音がすると思って、我が宿の妻戸を開けてみたところ、人が来たのではなく木の梢で鳴く水鶏の声であったよ。
という歌が詠まれたあたりを契機に、人の訪れに関わる風物と見なされるようになっていきます。とはいえ、『新古今和歌集』までの勅撰和歌集で題材にされた事は少なく、夏の風物詩として定着するのは中世以降だそうです。俳諧が広まると、夏の季語として用いられるようになったようです。
【参考文献】
喜早哲『日本の抒情歌』誠文堂新光社
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『日本大百科全書』小学館
『大辞泉』小学館
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by trushbasket
| 2022-06-26 14:04
| NF








