2022年 07月 03日
大正天皇御製漢詩『農村驟雨』〜豊年を祈る、帝王の詩〜
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既に六月も終わり、七月。昨年、大正天皇御製漢詩『梅雨』をご紹介しましたが、今回も同様にこの季節の雨をうたった漢詩についてです。大正五年の御製。
農村驟雨
沛然雨過近黃昏
殷殷鳴雷雲與奔
想得農夫多喜色
稻田水足一村村
沛然 雨過ぎて 黄昏に近し
殷々たる鳴雷 雲と与に奔る
想い得たり 農夫 喜色多きを
稲田水は足る 一村々
(石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店 267頁)
〈超意訳〉
激しく雨が降って時は夕暮れ近く。
大きな音で雷が鳴り響いて雲と一緒に動いている。
農夫が喜びに溢れているのは想像に難くない。
稲を育てる田は、村々で水が足りるようになったのだから。
平仄及び押韻は下記の通り。○が平声、●が仄声、△はいずれも可、◎は韻脚になります。平仄を始めとする漢詩の規則については、こちらをご参照ください。下にあるサイトも参考にしました。
関連サイト:
「平仄くん」(http://kanshi.work/pinyin/index.php)
●○●△●○◎
△△○○○●◎
●●○○○●●
●○●●●○◎
韻脚は「昏、奔、村」で上平声十三元。
以下は、語句解説です。
・沛然
雨が勢い良く降る様子
・殷殷
盛んな様子、大きく鳴り響く様子
・喜色
喜ぶ様子
『梅雨』同様、雨で豊かな実りが期待できるのを喜んだ詩です。帝王らしい内容の作品と呼べるでしょう。
【参考文献】
石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『日本大百科全書』小学館
『世界大百科事典』平凡社
『大辞泉』小学館
『中日辞典 第三版』小学館
『大辞林』三省堂
『普及版 字通』平凡社
『動植物名よみかた辞典 普及版』日外アソシエーツ
『角川新字源改訂版』角川書店
新田大作『漢詩の作り方』明治書院
菅原武『漢詩詩語辞典』幻冬社ルネッサンス
「日本漢字能力検定 漢字ペディア」(https://www.kanjipedia.jp)
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