2022年 09月 18日
大正天皇御製漢詩『車中作』〜車窓から見る秋の実り〜
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久しぶりに、今回は秋の実りを題材にした大正天皇御製漢詩を。大正二年十月に桃山御陵を参拝するため鉄道で移動した際の作だそうです。
車中作
百里行程鐵路通
飈輪快走疾於風
眼前光景卜秋熟
萬頃秧田翠接空
車中の作
百里の行程 鉄路通ず
飈輪快走 風よりも疾し
眼前の光景 秋熟を卜す
万頃の秧田 翠 空に接す
(石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店 155頁)
〈超意訳〉
遥か遠い行き先まで鉄道が通っている。
列車が突っ走る様は風よりも速い。
目の前に見える光景は、秋の実りを予感させてくれる。
見渡す限りの稲田は青々として空に届きそうである。
平仄及び押韻は下記の通り。○が平声、●が仄声、△はいずれも可、◎は韻脚になります。平仄を始めとする漢詩の規則については、こちらをご参照ください。下にあるサイトも参考にしました。
関連サイト:
「平仄くん」(http://kanshi.work/pinyin/index.php)
●●○○●●◎
○○●●●○◎
●○○●●○●
●●○○●●◎
韻脚は「通、風、空」の上平声一東。
以下、語句解説です。
・百里
ここでは、遠い距離
・行程
目的地までの道のり
・飈輪
つむじ風
・於
比較形で用い、「A於B」で「BよりもAである」
・卜
占う、判断する
・万頃
地面、水面が広々としていること。
頃は、中国の地積の単位。
・秧田
秧は、苗。稲を植えた田。
【参考文献】
石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『日本大百科全書』小学館
『世界大百科事典』平凡社
『大辞泉』小学館
『中日辞典 第三版』小学館
『大辞林』三省堂
『普及版 字通』平凡社
『動植物名よみかた辞典 普及版』日外アソシエーツ
『角川新字源改訂版』角川書店
新田大作『漢詩の作り方』明治書院
菅原武『漢詩詩語辞典』幻冬社ルネッサンス
「日本漢字能力検定 漢字ペディア」(https://www.kanjipedia.jp)
三羽邦美「三羽邦美の漢文教室 改訂版」旺文社
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