2022年 10月 24日
歌枕「遠里小野」〜昔は「とをざとをの」と読んだそうで
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今回は、久々に歌枕シリーズ。お題は「遠里小野」です。住吉から遠く離れた在所(村里)、という意味で大阪市住吉区から堺市にかけての大和川両岸の地域。歌枕として知られ、
『万葉集』にも
住吉の 遠里小野の 真榛(まはり)もち
摺れる衣の 盛り過ぎゆく
<超意訳>
住吉の遠里小野でハンノキを使って染めた衣も、だんだんと盛りを過ぎて色あせていくことだ。
という歌があったりします。
・真榛
ここではハンノキ。カバノキ科の落葉高木で樹皮や果実を染料に用いる。
・摺る
摺染の事で、草木の花や葉をそのまま布面に摺りつけて、自然のままの文様を染めること。
『続古今和歌集』巻第五 秋歌下にも
源具親朝臣
こぬ人を 待夜つもりの 浦風に
遠里小野は 衣うつなり
<超意訳>
帰ってこないあの人を待つ夜が積もって浦風が吹く中、遠里小野であの人が帰ってきたら着るための衣につやを出すべく槌をうっている。
名処擣衣といふことを 中務卿親王
まはぎちる 遠里小野の 秋風に
花ずり衣 いまやうつらん
<超意訳>
萩の花が散る秋風が吹く中、遠里小野で花ずり衣をいまはつやを出すため槌でうっている。
・擣衣
「とうえ」とよみ、布帛をしなやかにし、つやを出すために、砧にのせて槌でうつことを意味します。
・花ずり衣
摺染(上記)によって、萩や露草の花を衣に擦り付けて色を染め出した衣の事。
『万葉集』にある歌を意識してか、衣に絡めた歌が多い印象です。
なお遠里小野は現在は「おりおの」と読むそうです。瓜生野と呼ばれた時期もあり、正平二年(1347)に楠木正行が山名時氏を破った古戦場としても知られているそうです。
【参考文献】
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『大辞泉』小学館
『続古今和歌集 上』吉田四郎右衛門尉刊行
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by trushbasket
| 2022-10-24 22:11
| NF








