2023年 02月 14日
大正天皇御製漢詩『偶成』〜帝王として天下泰平を祈る詩〜
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今回は、久々に大正天皇天皇御製漢詩を取り上げようかと思います。大正三年の御製で、題は『偶成』とそっけないですが、国土と国民の安寧を祈る帝王らしい作品です。
偶成
良辰美景入詩歌
秋月春花興趣多
願使蒼生衣食足
山無噴火水無渦
良辰美景 詩歌に入る
秋月春花 興趣多し
願わくは蒼生をして衣食足らしめ
山に噴火無く 水に渦無からんことを
(石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店 203頁)
〈超意訳〉
良い時節、美しい景色というのは、詩歌の題材となる。
例えば秋の月や春の花といった風物詩は趣が深いものだ。
だが今願うのは、人々が生活に困る事なく、
火山の噴火や水害といった天変地異が起こらない事である。
平仄及び押韻は下記の通り。○が平声、●が仄声、△はいずれも可、◎は韻脚になります。平仄を始めとする漢詩の規則については、こちらをご参照ください。下にあるサイトも参考にしました。
関連サイト:
「平仄くん」(http://kanshi.work/pinyin/index.php)
○○●●●○◎
○●○○●●◎
●●○○○●●
○○●●●○◎
以下、語句解説です。
・良辰
良い時。吉日。「良辰美景」で「良い時節に美しい景色」といった意味となる。謝霊運『擬魏太子鄴中集詩序』に「天下良辰美景賞心楽事四者難并」とある。
・蒼生
多くの人々。人民。日本の古語にも「青人草(あおひとくさ)」という表現がある。
・山無噴火水無渦
前年に風水害が頻発、この年の頭には桜島噴火があったのを受けているという。
風水害とか疫病とか、この人が題材にした国難も現代から見ても身につまされるものが多々ありますな。
【参考文献】
石川忠久編著『大正天皇漢詩集』大修館書店
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『日本大百科全書』小学館
『世界大百科事典』平凡社
『大辞泉』小学館
『中日辞典 第三版』小学館
『大辞林』三省堂
『普及版 字通』平凡社
『動植物名よみかた辞典 普及版』日外アソシエーツ
『角川新字源改訂版』角川書店
新田大作『漢詩の作り方』明治書院
菅原武『漢詩詩語辞典』幻冬社ルネッサンス
「日本漢字能力検定 漢字ペディア」(https://www.kanjipedia.jp)
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「大正天皇御製漢詩 『 聞鼠疫流行有感』 〜タチの悪い感染症流行の中で〜」
※2023/2/15 誤字を修正
by trushbasket
| 2023-02-14 21:20
| NF








