2023年 02月 20日
歌枕「和歌浦」な歌に見る、勅撰和歌集編纂への意気込みな事例〜『続古今和歌集』選者の一人、藤原光俊の話〜
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今回、歌枕シリーズのおまけ。だいぶ前に取り上げた「和歌浦」について、名前に因んで和歌絡みの主題が読み込まれている事が多々ある件についてはお話いたしました。今回、その一例を『続古今和歌集』で見かけましたので、ちょっとそれに触れようかと。
巻第十九 雑歌下に、藤原光俊の作であるというこんな歌が載せられています。
弘長二年勅撰の事おほせられて後十首歌講じ侍しに海辺月を
和歌浦や しらぬ塩ぢに こぎ出て
身にあまるまで 月をみる哉
〈超意訳〉
弘長二年に勅撰集の選者たる事を仰せつかって後、十首の歌を詠みました際に海辺月という題で
和歌浦でよく知らない航路に漕ぎ出すかのように、勅撰集選者という和歌の世界で未経験の道に踏み出す事になり、身に余る光栄に包まれながら月を見ております。
この歌の詠み手である藤原光俊については、こちらを。彼が選者を務めた勅撰和歌集といえば、この『続古今和歌集』そのもの。歌人として最高の栄誉というべき選者の一人に加えられた喜びと意気込みが込められたものと見るべきでしょうね。
なお、この『続古今和歌集』、正元元年(1259)に後嵯峨院の院宣で編纂が決まった最初の時点での撰者は藤原為家だけだったそうですが、途中から加わった光俊の意向が強く加わったものになっているのだそうです。
【参考文献】
『続古今和歌集 下』吉田四郎右衛門尉刊行
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『朝日日本歴史人物事典』朝日新聞出版
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by trushbasket
| 2023-02-20 21:24
| NF








