2023年 02月 28日
画題「天保九如」とは〜長寿を祈願してのめでたいテーマ〜
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今は余り眼にする機会がない気がしますが、東洋画のテーマの一つに「天保九如」というのがあるそうです。
山・阜・岡・陵・川・月・日・南山・松柏を描きこんだもので、『詩経』小雅天保篇に天子の長寿を祝う「天保定爾、以莫不興、如山如阜、如岡如陵、如川之方至、以莫不増、如月之恒、如日之升、如南山之寿、不騫不崩如松柏之茂、無不爾或承」という句から来ているそうです。逐語訳は面倒なので省略しますが、大雑把に言うと「天子の寿命は、山のように土山のように、丘陵のように、川の彼方のように、窮まる事がない。変わらず輝く月のように、昇る太陽のように、南山の寿のように、どこまでも増していく。松や柏が青々と茂るかのように、欠ける事も崩れる事もない」といった感じ。いくつかダブってる気がしなくもないですが、気にしない。こんな感じで「如」という言葉を連ねて長寿の喩えとなる事物を九つ並べ、天子を寿いだ訳ですね。
それを踏まえて、長寿を願うめでたい画題として好まれたそうで。高くそびえた山や丘、日、月を描き、高士がそれを仰ぎ見る構図が多いようです。我が国でも、天保八年に谷文晁が光格上皇や仁孝天皇に天保九如図を献上した事例があります。
今は余り見聞きしなくなりましたが、かつてはメジャーだったらしきテーマという事で、簡単に触れてみました。
【参考文献】
三島中洲監修 池田蘆洲編著『故事熟語辞典』宝文館
長田権次郎『徳川三百年史』裳華房
『精選版 日本国語大辞典』小学館
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by trushbasket
| 2023-02-28 21:44
| NF








