2023年 03月 14日
歌枕「布引の滝」〜『続拾遺和歌集』でも
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前回、歌枕「布引の滝」についてお話ししましたので、今回はその続き。前回取り上げた『続古今和歌集』の次に当たる『続拾遺和歌集』でもこの地を題材にした歌がありましたので。『続拾遺和歌集』は十二番目の勅撰和歌集で、亀山院の院宣によって藤原為氏が撰者となり弘安元年(1278)に成立しました。関東武士の歌も多く採択されていたり、『鵜舟集』という異名があったりという特色も。
さて。件の歌は『続拾遺和歌集』巻第一 春上にあります。すなわち
文永二年七月白河殿にて人々題をさぐりて七百首歌つかうまつる時瀧霞を
山階入道左大臣
水上は 雲のいづくも 見えわかず
かすみて落る 布引の瀧
〈超意訳〉
水上は雲のはるか向こう、どことも見分けが付かぬほど高く、霞がかかって水が落ちてくる布引の滝よ。
山階左大臣とは、洞院実雄(1217-1273)のこと。西園寺公宗の子で、洞院家の祖です。娘を後深草天皇、亀山天皇、伏見天皇に嫁がせ、結果として伏見天皇、後宇多天皇、花園天皇の外祖父となり朝廷で権勢を誇り、子孫も大臣を輩出する家柄となりました。従一位左大臣。
この歌が詠まれた「白河殿」とは京都岡崎の法勝寺付近の事でしょうか?どうやら、そこで人々と題を決めて沢山詠んだ中の一首のようです。こうした題詠でも取り上げられる程の、歌枕として名高い場所であった、という一例はなるかと思います。
【参考文献】
『続拾遺和歌集 上』吉田四郎右衛門尉刊行
『日本人名大辞典』講談社
『世界大百科事典』平凡社
『日本国語大辞典』小学館
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by trushbasket
| 2023-03-14 23:34
| NF








