2023年 03月 23日
千利休の子、道安が残した茶室の趣向「道安囲」〜狙うは茶席の劇場化?〜
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千利休の末裔で今なお茶の湯で重きをなす三千家。彼等が千少庵とその子宗旦の系統なのはご存知の方も多いかと思います。一方、利休には道安という息子もいました。彼の系統は伝わっていませんが、彼もまた独自の創意によって茶の湯の歴史に名を刻んだ茶人でありました。
今回は、千道安が茶室に残した工夫「道安囲」の話をいたそうかと。
「道安囲」とは、点前座(亭主が茶をたてる位置)と客座の間に中柱を建て仕切壁で火灯口(上が尖頭アーチになった入口)を作り、そこを一本襖で仕切る事で亭主と客の場所を分ける構造の事です。襖の上は吹き抜けとなっており同じ一つの茶室内ではありますが、襖が閉まっていると客からは亭主の姿は見えません。客からは見えるのは釜と茶室に吊り下げられた棚だけ。道具が全部運び込まれた状態で初めて亭主は襖を開け、客に挨拶して点前を始める。そういう趣向のようです。
こうした構が生まれた背景として、一説には道安が歩行に問題を抱え道具を持ち運びする所作を見せたくなかったからだ、という伝承もありますが真偽不明です。ただ、そうした問題を抱えた亭主にとっては有用な構だとは思います。おそらく最大の狙いは、「点前座を舞台に」「客座を客席に」見立てて「小さな茶室空間が一つのダイナミックな劇場空間」となる事だったと思われます(括弧内は『茶室』和風建築社 86頁の熊谷勝「皆如庵」より)。
この道安囲がある茶室として有名なのは、京都黒谷光明寺西翁院の澱看席、円山公園皆如庵などだそうです。
【参考文献】
江守奈比古著『茶室入門 写真でたのしむ有名茶室50席』海南書房
『日本大百科全書』小学館
『茶室』和風建築社
『LANDSCAPE DESIGN No.46』マルモ出版
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