2023年 06月 14日
歌枕?「後瀬山」〜むしろ城跡として知られる?〜
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『続拾遺和歌集』巻第十四 恋歌四にこんな歌があります。
正三位知家
うつろはん 物とや人の 契をきし
後せの山の 秋の夕霧
〈超意訳〉
後の世には移り変わっていくのだろう、大事だと人が誓約したものも。後瀬山の秋の夕霧のように定めなく。
ここでいう「後瀬山」が今回のお題。後瀬山は福井県小浜市にあり、標高は168mの山です。北にある丹後街道を見下ろす交通の要所であった事から、若狭守護武田氏によって後瀬山城が作られた事で知られ「城山」「御城山」とも呼ばれています。なお、愛宕神社が建てられた事から「愛宕山」とも。
さて、和歌絡みでいえば『万葉集』でも
後湍山 後も逢はむと 思へこそ
死ぬべきものを 今日までも生けれ
〈超意訳〉
後瀬山の名の通り、死後の世界でも貴方に会おうと思っているからこそ、死んでしまおうと思いつつも今日までも生きてきたのだ。
と詠まれており、『枕草子』でも名前が挙がるなど貴族社会でも古くから知られた名所ではあった、と言えそうです。
【参考文献】
『続拾遺和歌集 下』吉田四郎右衛門尉刊行
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『日本歴史地名大系』平凡社
※2023.6.20 和歌集の刊行元に関する記述が抜けていたので修正。
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by trushbasket
| 2023-06-14 20:42
| NF








