2023年 08月 07日
歌枕「五十鈴川」〜「宮川」とも時には〜
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今回の歌枕シリーズは「五十鈴川」。
五十鈴川は御裳濯川・宇治川ともいわれ、伊勢神宮の神域を流れる川です。剣峠から発し高麗広を流れる本流と、逢坂峠に発する島路川が内宮の西南で合流、その後は最終的には伊勢湾に流れ込みます。全長は約24kmだとか。
『日本書紀』天孫降臨段や『倭姫命世記』では五十鈴川の川上が聖地となる謂れが記されており、伊勢信仰との絡みで歌に詠まれる印象があります。「宮川」という別称もあり、そちらで歌に詠まれる事も。
『続拾遺和歌集』巻第二十神祇では
千五百番歌合に 後鳥羽院御製
朝夕に あふぐ心を なをてらせ
波もしづかに 宮川の月
〈超意訳〉
朝夕に天照の神を仰ぐ心をこれからも照らして下さい。波も静かな宮川に映る月影よ。
大蔵卿有家
跡たれて いくせになりぬ 神風や
いすずの河の ふかき流は
〈超意訳〉
神が顕現されて幾年になるのだろう。五十鈴川の深い流れに。
なんて歌が。神祇の部に入っている事から分かるように、いずれも神宮の神への信仰を詠んだ歌なのが分かりますね。
なお、「跡を垂る」とは「垂迹」の訓読で、「仏や菩薩が衆生を守るため神や偉人としてこの世に現れる」事です。中世ならでは、という言葉ですね。
【参考文献】
『続拾遺和歌集 下』
『日本歴史地名大系』平凡社
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『大辞泉』小学館
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「歌枕「大堰川」〜都から程近い、急流と紅葉で知られた名所〜」
だいぶ昔の記事なので、今からすれば古い点もあるかも知れませんが。
by trushbasket
| 2023-08-07 21:01
| NF








