2023年 09月 06日
歌枕「衣手森」〜松尾神社の周辺らしいです〜
|
今回取り上げるお題は「衣手森」。例によって古くからの歌枕で、例えば平安末期にあたる十二世紀後半の『重家集』には
山姫や 着て故郷へ 帰るらん
錦とみゆる ころもでのもり
〈超意訳〉
山の女神は、これを纏って故郷の山へお帰りになるのだろうか。錦のように美しい、衣手の森そのものを。
という歌があったりします。なお、「山姫」とは山を治める女神のこと。
また『新後撰和歌集』巻第六 秋歌下には
紅葉葉も けふをかぎりと しぐるなり
秋のわかれの 衣手の杜
〈超意訳〉
紅葉の葉も、今日限りとばかりに赤く染まっているよ。秋も終わろうとする衣手の森では。
という歌があります。
これら二首を考えると、どうやら紅葉で知られ秋の歌で好まれる場所と見て良さそうな感じですね。
ところが、そんな風情ありげな地ではありますが。この「衣手の森」、具体的な位置は徳川期には既に不明瞭になっていたようです。『扶桑京華志』『京羽二重』『雍州二府志』『名所都鳥』といった書物によれば松尾大社とその北西の嵐山との間にあったとされています。しかし松尾大社の南だとか東だとかいう異説もあるようです。ともかくまあ、京都市西京区は松尾大社の付近にあった事は間違いなさそうですけども。
【参考文献】
『新後撰和歌集 上』
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『日本歴史地名大系』平凡社
関連記事:
「歌枕「大堰川」〜都から程近い、急流と紅葉で知られた名所〜」
by trushbasket
| 2023-09-06 20:30
| NF








