2024年 05月 16日
「漢俳」というのがあるのだそうで〜漢詩風俳句または俳句風漢詩〜
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先日、とある方に御教示頂いたのですが、「漢俳」なるものがあるんだそうで。調べてみたところ、『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』に項目がありましたので、それを参考に。
何でも、漢訳俳句というべきものだそうです。ご存知の通り、俳句というのは五・七・五の十七音を定型とする短詩で、季節を表す言葉(季語または季題)を詠み込むのが原則となっています。
それに倣って、漢詩の五言や七言のような形で五・七・五の十七文字からなる三行を定型とする新しいタイプの詩だそうです。俳句に倣い季語を詠み込みますし、漢詩に倣って各行の末尾で韻を踏むのが規則なようです。
この漢詩風俳句もしくは俳句風漢詩というべき漢俳、1980年に大野林火ら俳人協会が日中友好協会の招待に応じて訪中したのがきっかけで生まれたそうです。以降、中国で次第に愛好者が増えており、中国国民詩に成長したと述べる書物すらありました。鍾敬文、趙樸初、林林や金子兜太といった人々の働きが中国での普及には大きかったそうです。
具体的な例として『ブリタニカ国際大百科事典』にあるものを見てみましょう。1981年4月に平安神宮での日中競詠で桜を題にした作品だそうです。
桜色満芳春
但願剪得一片雲
裁作綿衣裙
〈自己流訓読〉
桜色 芳春に満つ
但だ願はくば 剪り得んことを 一片の雲
裁ち作さん 綿衣の裙
〈超意訳〉
桜が満ちる芳しい春になった。
空に浮かぶひとひらの雲を切り取ってしまいたいものだ。綿入をそれで仕立てよう。
平仄を例の如く下記サイトも参考にしながら見ると、以下の通り。
関連サイト:
「平仄くん」(http://kanshi.work/pinyin/index.php)
⚪︎⚫︎⚫︎⚪︎◎
⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎◎
△⚫︎⚪︎⚪︎◎
なお○が平声、●が仄声、△はいずれも可、◎は韻脚になります。上平声十一真の「春」、上平声十二文の「雲、裙」が韻になっているのだそうです。どうやら絶句や律詩とは異なり、平仄はそこまで気にしなくて良さそう。
漢詩の世界も、時と共に広がりを見せているのを知って興味深いですし、日本からの影響で生まれた潮流というのも感慨深いものがあります。
【参考文献】
『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』ロゴヴィスタ
今田述『漢俳』東方書店
『角川新字源改訂版』角川書店
菅原武『漢詩詩語辞典』幻冬社ルネッサンス
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