2024年 05月 23日
NPB投手がMLB入りしたら防御率はどう変化するか~日本人投手、一部助っ人から見る~
|
先日、ダルビッシュ有投手が日米通算200勝という快挙を成し遂げたそうで。日本ハム時代の圧倒的大エースなイメージが脳裏にまだ鮮烈なのですが、已にアメリカでの勝ち星の方が多くなってメジャーリーグ(以下MLB)でも最多勝を取り。時の流れは早いものです。
さて。遠い昔のことですが、日本プロ野球(以下NPB)で活躍した野手がMLBに移籍してアジャストできた場合、成績はどのように変化する公算が高いか。それに関する考察記事を出したことがあります。今回、その投手版を試みようかな、とふと思った次第です。なお、直接のソースはWikipediaなので、その辺りも含めて今回の記事は話半分くらいでご覧いただければと思います。
そこで、NPBとMLBの両方で複数シーズンに主力級もしくはそれに準ずる存在(シーズン100イニングもしくは30登板を一応の目安とします)として活躍したと思しき日本人投手を対象に、通算防御率の変化を比較したいと思います。ただ、まだ現役の投手も多いので、今後の数値変遷もあるかと思いますが。
なお、先発とリリーフといった起用法の変化による防御率の変化も予想されますので、基本的に日米双方で同様な起用をされていた投手にまずは絞ってみようかと。
対象は、2023年シーズン終了時点でNPBとMLBの双方で(一定の防御率での)シーズン100イニングまたは30試合登板を複数シーズン経験し、先発なら先発、リリーフならリリーフと両国で起用法がほぼ一致している日本人投手とします。
以下は、ほぼ順不同。投手名、NPB通算防御率、MLB通算防御率(いずれも2023年シーズン終了時点)、変動割合の順です。(先)は先発、(リ)はリリーフ、※は2024年シーズン開幕時点で現役の投手です。
野茂英雄(先) 日3.15 米4.24 ×1.35
伊良部秀輝(先) 日3.55 米5.15 ×1.45
佐々木主浩(リ) 日2.41 米3.14 ×1.41
吉井理人(先、リ) 日3.86 米4.62 ×1.20
吉井投手は日米双方で先発リリーフの両方やっていた印象です。
大塚晶則(リ) 日2.39 米2.44 ×1.02
石井一久(先) 日3.63 米4.44 ×1.22
松坂大輔(先) 日3.04 米4.45 ×1.46
黒田博樹(先) 日3.55 米3.45 ×0.97
岡島秀樹(先) 日3.19 米3.09 ×0.97
ダルビッシュ有※ (先) 日1.99 米3.59 ×1.80
岩隈久志(先) 日3.25 米3.42 ×1.05
田中将大※ (先) 日2.66 米3.74 ×1.41
前田健太※ (先) 日2.39 米3.92 ×1.64
菊池雄星※ (先) 日2.77 米4.71 ×1.70
大谷翔平※ (先) 日2.52 米3.01 ×1.19
沢村拓一※ (リ) 日2.85 米3.39 ×1.19
平野佳寿※ (リ) 日2.94 米3.69 ×1.26
×1前後 大塚晶則、黒田博樹、岡島秀樹、岩隈久志 4人
×1.20前後 吉井理人、石井一久、大谷翔平、沢村拓一、平野佳寿 5人
×1.40前後 野茂英雄、伊良部秀輝、佐々木主浩、松坂大輔、田中将大 5人
それ以上 ダルビッシュ有、菊池雄星、前田健太 3人
だいたい、MLBでの防御率がNPB時代の×1.2-1.4となる人が目立つ印象です。中央値は平野佳寿投手の×1.26、平均値は×1.31。そんな中でほぼ横ばいか若干良化している投手が4人もいるのは驚き。ダルビッシュ投手は倍率にすると一番跳ね上がっていますが、MLB時代の通算防御率自体は決して悪くありません。NPB時代の通算防御率が傑出していた事によるもので、そう考えるとこの数値も一つの勲章かもですね。
基本的に×1.30あたりと見たらよいのかな、という印象ですがバラツキが大きく余り一般化は出来ないかもですね。親しい友人との与太話で出す分には大目に見て貰えるでしょうが、真面目な考察で出すのはやめておいた方がよさそうな気がする精度です。
参考として、助っ人投手で同様にMLBとNPBの双方で複数シーズン活躍した人々を何人か見てみましょう。やはり、両国で起用法が同様の面々に絞ります。
ビル・ガリクソン(先) 日3.29 米3.93 ×1.19
スコット・アッチソン(リ) 日2.77 米3.63 ×1.31
呉昇桓(リ) 日2.25 米3.31 ×1.47
ロベルト・スアレス※(リ) 日2.81 米2.99 ×1.06
L.サンチェ(リ) 日2.54 米3.75 ×1.48
こちらも平均値は×1.30、中央値は×1.31となりました。やはり×1.30前後くらいと見るのが適切なんでしょうかね。日本人投手同様にバラツキ、個人差は大きいですが。
も一つ参考までに。日本人投手で、渡米後に起用法が変わったらどうなるかも見てみます。同様に双方で複数シーズン活躍したと言えそうな日本人投手で、全員がNPB時代は先発中心で、MLBではリリーフに転向した事例です。調べた限りでは今のところ逆はなさそう。
長谷川滋利 日3.33 米3.70 ×1.11
斎藤隆 日3.75 米2.34 ×0.62
上原浩治 日3.02 米2.66 ×0.88
藪恵壹 日3.58 米4.00 ×1.12
平均値は×0.93で、中央値は(0.88×1.11)÷2で×1.00になります。防御率という点だけを問題にするなら、NPBで先発でも渡米後はリリーフ転向した方が有利になりそう。現に、4人中2人は防御率を良化させています。
もっとも、個人レベルでの相性もありますから、NPBのプレイヤーが必ずしもMLBでそうした相関に当てはまる成績に収まってくれる訳ではありません。むろん、逆も然り。ただ、少なくとも日米双方に順応したと思しき投手に関しては日本人・外国人問わず基本的に起用法が同じなら防御率は
NPB×1.30=MLB
な前後に収まる…かも?といった雰囲気。それに水が合う合わないなどの要因が加わる、のかもです。これより良い数値なら「よくアジャストしている」、良くない場合も「やや苦戦しているかもしれないがよく踏ん張っている」と見る目安にくらいはなるかも。
なお、先発投手があちらでリリーフに転向した場合は、少し防御率が良化する可能性も期待できそうな雰囲気でしたね。
という訳で、「日本人投手がMLBに挑戦する際、成功したらどの程度の成績になるのか」「MLBで成功したあの選手がNPBに留まっていたらどんな成績になっているのか」という妄想をする際の一応の目安にはなるかもしれません。ただし、あくまで「一応」ですが。くれぐれも、真面目な考察には使わないように。
個別事例を見ていただければ分かる通り、非常にバラツキの大きい、個人差のあるものを無理に法則化しようとした非常にガバガバな代物です。おまけに、シーズン別に見ると同じ選手でも変動が大きい代物ですしね、防御率は。
そんな、かなり不完全でいい加減極まりないな計算式ですので、鵜呑みにせず緩い目で話半分に見ていただければ幸いです。
by trushbasket
| 2024-05-23 22:08
| NF








