2024年 07月 31日
歌枕「一志浦」〜伊勢の海岸〜
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今回はまた歌枕シリーズ。『玉葉和歌集』巻第六 冬歌に
海辺千鳥と云ことを 鎌倉右大臣
月きよみ さ夜更けゆけば い勢嶋や
いちしの浦に 千鳥なく也
〈超意訳〉
月が清らかだからなのか、夜がふけていくと伊勢の国の一志浦に千鳥が鳴いているよ。
という歌があります。源実朝の歌です。
この「いちしの浦」とは伊勢国の一志浦を指すと思われ、今の一志郡香良州町付近にある海岸の事だそうです。例によって歌枕として知られた地で、『千載和歌集』恋四の道因法師の歌にも
伊勢島や いちしの浦の あまだにも
かづかぬ袖は ぬるるものかは
〈超意訳〉
伊勢の国の一志浦の海人ですら、被らない衣の袖は濡れないというのに、私の衣はあなたを思う涙で濡れている。
というのがあります。
なお、どちらの歌にも登場する「伊勢島」は伊勢志摩でなく伊勢を表す歌言葉だそうで、同様に「大和」が「大和島」と呼ばれたりもするんだそうです。
【参考文献】
『玉葉和歌集 上之二』吉田四郎右衛門尉刊行
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『大辞泉』小学館
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by trushbasket
| 2024-07-31 20:50
| NF








