2025年 04月 02日
春をうたう五山漢詩〜義堂周信『雨中對花』〜
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日によって寧ろ暑いくらいだと思えばまた寒さが戻ってきたり。服装の選択が難しい日々が続いてますね。それでも桜が咲き始めたり、春にはなってきました。という訳で、今回も五山文学から春の漢詩を。義堂周信(1325-1388)の『雨中對花』が今回のお題です。
まずは義堂周信について。土佐の生まれで十七歳で上洛して夢窓疎石に学び、その後は建仁寺の龍山徳見に参じました。鎌倉でしばらく瑞泉寺に住持した後、帰洛して建仁寺・天龍寺・南禅寺に移っています。豪放かつ協調的な為人で漢籍にも通じており、足利義満から絶大な信任を受けました。空華道人とも号し、漢詩に関しても絶海中津と双璧とされています。著作に漢詩文集『空華集』や日記『空華日用工夫略集』があります。では、見ていきます。
雨中對花 釋周心
三年不作禁城遊
幾度東風喚客愁
今日暮簷春雨裏
對花猶認舊風流
(筒野道明講述『和漢名詩類選評釈』明治書院 182-183頁)
三年作さず禁城の遊。
幾度か東風 客愁を喚ぶ。
今日 暮簷 春雨の裏。
花に対して 猶ほ認む旧風流。
〈超意訳〉
ここ三年、京の都で花鳥風月の遊楽をできていない。
旅の空で春風が都を思っての愁いを引き起こした事も何度あったか知れない。
今日も夕暮れの軒先で春雨が降る中、
花を見つめながら昔の風流な思い出に耽っている事よ。
平仄及び押韻は下記の通り。○が平声、●が仄声、△はいずれも可、◎は韻脚になります。平仄を始めとする漢詩の規則については、こちらをご参照ください。下にあるサイトも参考にしました。
関連サイト:
「平仄くん」(http://kanshi.work/pinyin/index.php)
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韻脚は「遊、愁、流」の下平声十一尤。
以下は語句解説です。
・禁城
皇居のこと。ここでは、御所のある京都を意味します。
・客愁
旅先での侘しい思い。
・簷
軒のこと。
旅先で京都を懐かしむ思いが伝わる一編かと。
【参考文献】
筒野道明講述『和漢名詩類選評釈』明治書院
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』ロゴヴィスタ
『日本大百科全書』小学館
『改訂新版 世界大百科事典』平凡社
『朝日日本歴史人物事典』朝日新聞出版
『日本人名大辞典』講談社
『大辞泉』小学館
『大辞林』三省堂
『中日辞典 第三版』小学館
『普及版 字通』平凡社
『角川新字源改訂版』角川書店
新田大作『漢詩の作り方』明治書院
菅原武『漢詩詩語辞典』幻冬社ルネッサンス
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