2025年 04月 19日
袁枚『春日雑詩』
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早いもので桜の季節も過ぎ、夏を思わせる暑さの日も増えてきました。という訳で暦が春のうちに、大急ぎで春を題材にした漢詩を一つご紹介したいと思います。今回扱うのは袁枚の『春日雑詩』。作者・袁枚については、こちらをご覧ください。
春日雜詩 袁枚
千枝紅雨萬重烟
畫出詩人得意天
山上春雲如我懶
日高猶宿翠微巓
(筒野道明講述『和漢名詩類選評釈』明治書院 228頁)
千枝の紅雨 万重の烟。
画き出す 詩人 得意の天。
山上の春雲 我が懶の如く。
日高くして 猶ほ宿す 翠微の巓。
〈超意訳〉
たくさんの枝に降り注ぐ紅の雨、幾重にも立ち上る煙霧。
詩人が詠みこむのを得意とする景色を描き出している。
山上の春の雲は、私が懶惰に過ごしているのと同様で
日は既に高く登っているのに山の八合目あたりに留まっている。
平仄及び押韻は下記の通り。○が平声、●が仄声、△はいずれも可、◎は韻脚になります。平仄を始めとする漢詩の規則については、こちらをご参照ください。下にあるサイトも参考にしました。
関連サイト:
「平仄くん」(http://kanshi.work/pinyin/index.php)
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韻脚は「烟、天、巓」の下平声一先。
以下は、語句解説です。
・千枝
たくさんに分かれた枝。
・紅雨
春の雨。花に濯ぐ雨。
・烟
ここでは、霧や湯気など、水蒸気が空中にたちこめたもの。煙霧。
・翠微
薄緑色に見える山の様子。また、下からみてそのように見える事から、「山の八合目」。
・巓
山の頂。
【参考文献】
筒野道明講述『和漢名詩類選評釈』明治書院
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』ロゴヴィスタ
『日本大百科全書』小学館
『改訂新版 世界大百科事典』平凡社
『朝日日本歴史人物事典』朝日新聞出版
『日本人名大辞典』講談社
『大辞泉』小学館
『大辞林』三省堂
『中日辞典 第三版』小学館
『普及版 字通』平凡社
『角川新字源改訂版』角川書店
新田大作『漢詩の作り方』明治書院
菅原武『漢詩詩語辞典』幻冬社ルネッサンス
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