2025年 05月 30日
梅雨に天の恵みを喜ぶ詩〜菅茶山『梅雨』〜
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蒸し暑い季節になってきました。場所によっては梅雨入りしたりしなかったりな時期ですな。という訳で、今回は梅雨を題材にした漢詩を。菅茶山『梅雨』です。作者菅茶山についてはこちらを。
梅雨 菅茶山
幾日梅天不放晴
愛看新漲映前楹
去年炎旱連秋半
津市時聞賣水聲
(筒野道明講述『和漢名詩類選評釈』明治書院 191頁)
幾日 梅天 晴を放たず
愛し看る 新漲の前楹に映ずるを
去年の炎旱は秋半に連なり
津市 時に聞く 水を売るの声
〈超意訳〉
梅雨が何日も続いてまだ晴れ間は見えない。
だがこの雨で新たに漲った水が母屋の前に立つ柱に映っているのを好ましく見ている。
思えば去年は日照りが秋の半ばまで続き、
渡し場のある市場ですら水不足で水売りの声が聞こえる為体だったのだから。
平仄及び押韻は下記の通り。○が平声、●が仄声、△はいずれも可、◎は韻脚になります。平仄を始めとする漢詩の規則については、こちらをご参照ください。下にあるサイトも参考にしました。
関連サイト:
「平仄くん」(http://kanshi.work/pinyin/index.php)
⚫︎⚫︎⚪︎⚪︎⚫︎⚫︎◎
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韻脚は「晴、楹、声」の下平声八庚。
以下、語句解説です。
・放晴
雨が上がる、晴れる。
・前楹
母屋の正面にある円柱。
・炎旱
ひでり。
・津市
渡し場のある市場。
【参考文献】
筒野道明講述『和漢名詩類選評釈』明治書院
『精選版 日本国語大辞典』小学館
『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』ロゴヴィスタ
『日本大百科全書』小学館
『改訂新版 世界大百科事典』平凡社
『朝日日本歴史人物事典』朝日新聞出版
『日本人名大辞典』講談社
『大辞泉』小学館
『大辞林』三省堂
『中日辞典 第三版』小学館
『普及版 字通』平凡社
『角川新字源改訂版』角川書店
新田大作『漢詩の作り方』明治書院
菅原武『漢詩詩語辞典』幻冬社ルネッサンス
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