国学者あれこれ
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今回は、宣長関連のどうでも良い話題について。
宣長が賀茂真淵に松阪の宿で出会った際、知られていませんがもう一人同席していた青年がいたそうです。真淵と宣長が交わす話をただ聞いているだけだったそうですから、二人の会話に付いていけないレベルの人物だったんでしょうね。しかし彼はインテリぶったりするのが好きな見栄っ張りの人物だったため、止めておけば良いのに真淵の弟子達に近づいて交際を持とうとしたそうです。結局は上手く行かなかったようですが、その際に有栖川宮の家臣であると偽って関心を引いたといわれています。そういえば、数年前に有栖川宮の末裔を名乗って結婚式詐欺をやった人物がいたのは記憶に新しいですね。約250年の時を超えて複数回も詐欺に名前が使われるとは有栖川宮家も災難ですな。
次は、自称宣長の弟子である平田篤胤について。
彼は、文献第一・実証重視の傾向が強かった宣長とは異なり、世界の根源としての日本・前任が救済される死後の世界・それを支える道徳規範といったものを強く求めながら玉石混交の様々な資料を集めて自説を組み立てて行きました。その際に彼なりの合理性をもって作業をしていたようですが、その合理性というのも「誰もいない壁に犬が白昼吠えかけているのは、そこに目には見えない妖怪がいるからと考えるのが理に適う」といった感じだったようです。そんな感じなので、かなり主観的に暴走していたようで、漢字が入る前に日本独自の文字があったとか、天狗に浚われたと称する少年や前世の記憶があると言う少年から話を聞いてまとめたりとオカルトな方向にも突っ走っています。まあ、彼については機会があればまとめたいと思いますのでこのくらいに(いつになるやら)。
【参考文献】
人物叢書新装版本居宣長 城福勇 吉川弘文館
拙稿「本居宣長」(http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2001/011214.html)
人物叢書平田篤胤 田原嗣郎 吉川弘文館
関連記事(2009年5月17日新設)
海外小説翻案と国学者の筆のすさび~エロは愛国主義者の国境も越える~
<過去記事・発表紹介>絢爛たる国学者たち
「神国日本」について考える
(以下2010年6月26日加筆)
賀茂真淵、本居宣長、平田篤胤については
よろしければ、社会評論社『ダメ人間の日本史』
もご参照ください。
「賀茂真淵 とあるダメナショナリストの一例 ~悪口しかいえないなら黙ってなさい~」
「本居宣長 国学大成した大学者は、骨の髄から重度のキモオタ」
「平田篤胤 偉大な先覚者か、トンデモ電波さんか? ~嫌な俗世間から逃げ出して自分の世界を構築した大学者~」
収録
リンクを変更(2010年12月8日)