2007年 08月 06日
「喪男」としての国学者たち
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「喪男の哲学史」という本があります。
西洋哲学の概論をオタク知識も交えて判りやすく説明している本です(僕は哲学は門外漢なのでどの程度内容が適切化は判断できませんが)。この本では、「モテ」に対する「喪男」の悲しみが哲学を生み出してきたと述べているようにモテる・モテないに話を単純化させていますが、要は「喪男」とは体制になじめない不適合者という事でしょう。
そう考えると、国学者たちも当時の体制になじめず「太古の日本にこそ理想があったんだ」と唱える「喪男」と言えなくもありません。彼らは仏教・儒教と言った体制側(モテ)を「漢意」として排撃し、日本古来の「神の道」こそが理想(「二次元」)だと唱えた不適合者と見ることも出来ます(必ずしもし国学者全てがそうではなく、学究として古典を学ぶ人も多くいました)。
さて、「喪男の哲学史」によれば、「喪男」には35歳前後で転機を迎える例が多いそうです(例:ブッダ、クリシュナムリティ、ナポレオン、ヘーゲル、ヒトラー、ニーチェ…)。これが主要な国学者にどの程度当てはまるか見てみましょう。
契沖:住職をしていたが対人関係に悩みやめる。隠遁し35歳頃から古典研究に入る。
賀茂真淵:養子先で家業として旅籠経営をしていたが、34歳で放棄し(実子が相続)学問に専念する事を決意。
本居宣長:35歳で正式に真淵に入門し、「紫文要領」を著して歌・物語研究を一段落させライフワークである「古事記伝」執筆に着手。この時期を境に文芸論から「神道」論に重点が移る。
平田篤胤:医業を営んでいたが34歳頃に廃業し、この頃に様々な著作を著して独自の理論を形成していく。37歳で代表作「霊の真柱」を執筆し独自の世界観を開陳した。
ついでに、「モテ」か「喪男」かと言う事で女性関係についても。
契沖:僧侶ですので生涯独身。
それ以外は結婚しているようですが…
賀茂真淵:一度目の結婚は短期間で死別。再婚するが必ずしも上手くいかず、生涯にわたり最初の妻を恋慕していたようである。
本居宣長:30歳過ぎて結婚。見合い結婚をしたが最初の結婚は一年持たずに破局。二度目の結婚で安定した。なお、宣長は妻に母の名に改名させている。
平田篤胤:最初の結婚は恋愛結婚であったが短期で死別。二回目は短期で破局し三度目の結婚で安定。最初の妻を忘れかねて、三度目の妻を最初の妻の名に改名させている。
残念ながら、どちらも荷田春満については資料不足です。
最初の、そして最愛の妻と死別した人が二人。あと、宣長先生、ひょっとしてマザコ…、いや何でもありません。どうやら女性関係から見ても、「喪男」と言って良さそうですね。
結論。偉大な国学者は、偉大な「喪男」でもあった。だからどうした、と言われると困るんですけどね。
【参考文献】
人物叢書契沖 久松潜一 吉川弘文館
人物叢書賀茂真淵 三枝康高 吉川弘文館
人物叢書新装版本居宣長 城福勇 吉川弘文館
人物叢書平田篤胤 田原嗣郎 吉川弘文館
本居宣長(上)(下) 小林秀雄 新潮文庫
「本居宣長」
(http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2001/011214.html)
「偉大なるダメ人間シリーズその7 本居宣長」(当ブログ内に移転しました)
(http://trushnote.exblog.jp/14529117/)
関連記事(2009年5月17日新設)
<過去記事・発表紹介>絢爛たる国学者たち
スイーツ(笑)断罪 1330 ~リアル女はノー・センキュー 僕はフィクションに恋をする~ 徒然草の恋愛論
「ひとりでできるもん」~自慰を歴史的に少し振り返る~
とらっしゅばすけっと関連発表
「偉大なるダメ人間シリーズその1 キルケゴール」(当ブログ内に移転しました)
(http://trushnote.exblog.jp/14529065/)
「偉大なるダメ人間シリーズその8 プラトン」(当ブログ内に移転しました)
(http://trushnote.exblog.jp/14529128/)
「引きこもりニート列伝その9 ソクラテス・プラトン」
(http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet09.html)
「引きこもりニート列伝その10 マルクス」
(http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet10.html)
「引きこもりニート列伝その11 ヒトラー」
(http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet11.html)
以上、「喪男の哲学史」に登場した偉大な「喪男」達です。
(以下2010年6月27日加筆)
国学者たちについては
よろしければ、社会評論社『ダメ人間の日本史』
もご参照ください。
「契沖 絶望した! 出家しても俗世間と絶縁できない仏教界に絶望した! ~国学の始祖は人間嫌いの引きこもり坊主~」
「賀茂真淵 とあるダメナショナリストの一例 ~悪口しかいえないなら黙ってなさい~」
「本居宣長 国学大成した大学者は、骨の髄から重度のキモオタ」
「平田篤胤 偉大な先覚者か、トンデモ電波さんか? ~嫌な俗世間から逃げ出して自分の世界を構築した大学者~」
収録
リンクを変更(2010年12月8日)
西洋哲学の概論をオタク知識も交えて判りやすく説明している本です(僕は哲学は門外漢なのでどの程度内容が適切化は判断できませんが)。この本では、「モテ」に対する「喪男」の悲しみが哲学を生み出してきたと述べているようにモテる・モテないに話を単純化させていますが、要は「喪男」とは体制になじめない不適合者という事でしょう。
そう考えると、国学者たちも当時の体制になじめず「太古の日本にこそ理想があったんだ」と唱える「喪男」と言えなくもありません。彼らは仏教・儒教と言った体制側(モテ)を「漢意」として排撃し、日本古来の「神の道」こそが理想(「二次元」)だと唱えた不適合者と見ることも出来ます(必ずしもし国学者全てがそうではなく、学究として古典を学ぶ人も多くいました)。
さて、「喪男の哲学史」によれば、「喪男」には35歳前後で転機を迎える例が多いそうです(例:ブッダ、クリシュナムリティ、ナポレオン、ヘーゲル、ヒトラー、ニーチェ…)。これが主要な国学者にどの程度当てはまるか見てみましょう。
契沖:住職をしていたが対人関係に悩みやめる。隠遁し35歳頃から古典研究に入る。
賀茂真淵:養子先で家業として旅籠経営をしていたが、34歳で放棄し(実子が相続)学問に専念する事を決意。
本居宣長:35歳で正式に真淵に入門し、「紫文要領」を著して歌・物語研究を一段落させライフワークである「古事記伝」執筆に着手。この時期を境に文芸論から「神道」論に重点が移る。
平田篤胤:医業を営んでいたが34歳頃に廃業し、この頃に様々な著作を著して独自の理論を形成していく。37歳で代表作「霊の真柱」を執筆し独自の世界観を開陳した。
ついでに、「モテ」か「喪男」かと言う事で女性関係についても。
契沖:僧侶ですので生涯独身。
それ以外は結婚しているようですが…
賀茂真淵:一度目の結婚は短期間で死別。再婚するが必ずしも上手くいかず、生涯にわたり最初の妻を恋慕していたようである。
本居宣長:30歳過ぎて結婚。見合い結婚をしたが最初の結婚は一年持たずに破局。二度目の結婚で安定した。なお、宣長は妻に母の名に改名させている。
平田篤胤:最初の結婚は恋愛結婚であったが短期で死別。二回目は短期で破局し三度目の結婚で安定。最初の妻を忘れかねて、三度目の妻を最初の妻の名に改名させている。
残念ながら、どちらも荷田春満については資料不足です。
最初の、そして最愛の妻と死別した人が二人。あと、宣長先生、ひょっとしてマザコ…、いや何でもありません。どうやら女性関係から見ても、「喪男」と言って良さそうですね。
結論。偉大な国学者は、偉大な「喪男」でもあった。だからどうした、と言われると困るんですけどね。
【参考文献】
人物叢書契沖 久松潜一 吉川弘文館
人物叢書賀茂真淵 三枝康高 吉川弘文館
人物叢書新装版本居宣長 城福勇 吉川弘文館
人物叢書平田篤胤 田原嗣郎 吉川弘文館
本居宣長(上)(下) 小林秀雄 新潮文庫
「本居宣長」
(http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2001/011214.html)
「偉大なるダメ人間シリーズその7 本居宣長」(当ブログ内に移転しました)
(http://trushnote.exblog.jp/14529117/)
関連記事(2009年5月17日新設)
<過去記事・発表紹介>絢爛たる国学者たち
スイーツ(笑)断罪 1330 ~リアル女はノー・センキュー 僕はフィクションに恋をする~ 徒然草の恋愛論
「ひとりでできるもん」~自慰を歴史的に少し振り返る~
とらっしゅばすけっと関連発表
「偉大なるダメ人間シリーズその1 キルケゴール」(当ブログ内に移転しました)
(http://trushnote.exblog.jp/14529065/)
「偉大なるダメ人間シリーズその8 プラトン」(当ブログ内に移転しました)
(http://trushnote.exblog.jp/14529128/)
「引きこもりニート列伝その9 ソクラテス・プラトン」
(http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet09.html)
「引きこもりニート列伝その10 マルクス」
(http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet10.html)
「引きこもりニート列伝その11 ヒトラー」
(http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet11.html)
以上、「喪男の哲学史」に登場した偉大な「喪男」達です。
(以下2010年6月27日加筆)
国学者たちについては
よろしければ、社会評論社『ダメ人間の日本史』
もご参照ください。
「契沖 絶望した! 出家しても俗世間と絶縁できない仏教界に絶望した! ~国学の始祖は人間嫌いの引きこもり坊主~」
「賀茂真淵 とあるダメナショナリストの一例 ~悪口しかいえないなら黙ってなさい~」
「本居宣長 国学大成した大学者は、骨の髄から重度のキモオタ」
「平田篤胤 偉大な先覚者か、トンデモ電波さんか? ~嫌な俗世間から逃げ出して自分の世界を構築した大学者~」
収録
リンクを変更(2010年12月8日)
by trushbasket
| 2007-08-06 03:04
| NF








