2008年 04月 19日
メイド哲学史断章 ~メイドの奉仕を力に変えて 世界の真理に奉仕する それがこの俺 哲学者~
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デカルトがメイドさんに手を着けて、生まれた娘を溺愛してたこと、あるいはキルケゴールが熱烈にメイド萌えを叫んだことなんかは、以前の記事に書きました。
この他、マルクスなんかもメイドに手出しした哲学者に分類しても良いかも知れません。
それどころか、メイドさんと哲学者の縁はあまりにも深く、メイドさんと深い関わりを持った哲学者は彼ら三人には止まりません。
今日はそんなメイド哲学者をさらに二人、紹介したいと思います。
まず紹介するのはドイツの哲学者ショーペンハウアー(1788~1860)、理性重視の近世ヨーロッパ哲学を批判して、意志に重点を置いた哲学を唱えた人物です。戦前の日本でデカルト、カントと並んで学生によく読まれた哲学者だそうです。
さて、このショーペンハウアーは、若き日の1814年に文化施設の充実したドレスデンへと移住、その都市での充実した数年間の生活は、主著の『意志と表象としての世界』(1818年)へと結実していきます。ところが、ショーペンハウアーのこの実り豊かな時期は、別の意味でも実りをもたらしています。
なんとこの頃、ショーペンハウアーはメイドにどっぷりと惚れ込んで、色恋に長けた友人から手紙で、「君はどうもすっかり惚れ込んだようだね。やるものじゃないか。昔取った杵柄で君に言っておくが、君の彼女の貞節がいつまでも続くことはまずありえないと思いたまえ。いい加減に幻想は卒業したまえ」(リュティガー・ザフランスキー『ショーペンハウアー 哲学の荒れ狂った時代の一つの伝記』法政大学出版会 334頁より)と忠告されるような有様だったのです。
そして、この「ドレースデンの女中との情事が大変な結果を引き起こして」(同書 416頁)しまい、ショーペンハウアーにちょっとばかり厄介な実りをもたらされることになります。すなわち、女中が妊娠、1818年にショーペンハウアーには娘が誕生することになったのです。
これについて少し後に相談を受けた彼の妹は仰天し、1819年4月27日の日記に「ドレースデンで兄が付き合っていた女が妊娠している。なんとしたことか」(同書 同頁より)と記しています。富裕な出身の彼が下層階級出身の女中と結婚するなど考えられない時代ですから、なかなか厄介なことになってしまったわけです。
実はショーペンハウアーは女性蔑視で有名な人物で、女は背が低く肩幅が狭く尻が大きく足の短い美しいとは言えない種族だとか言ってるわけなのですが、そんな彼を、身分の隔たりを越えてすっかり惚れ込ませ、墜としてしまうメイドさんの力は、とってもとっても偉大ですね。
なお、ショーペンハウアーはこの娘の父親であることを認め、経済的な支援を行いましたが、1919年夏に娘は死亡したそうです。
つぎに紹介するのはアーレント(1906~1975)。ドイツ生まれのユダヤ人女性で、全体主義の問題に取り組んだ政治哲学者です。
彼女はその幼年時代、ドイツにおけるユダヤ教指導者の一人フォーゲルシュタインに心酔し、彼の宗教教育を受けていました。彼女のフォーゲルシュタインに対する熱の上げようは凄まじく、なんと彼女は大きくなったら彼と結婚するのだと宣言してさえいたのです。
ところが彼女は、いつしかユダヤ教の指導者たる彼に向かって、祈りはキリストに捧げられるべきだと、反抗的な宣言を行うに至ります。
そして彼女のこの精神的転向、恋慕していた民族的宗教指導者に対する精神的反抗をもたらしたものこそ、彼女の家に仕えるメイドさんだったりするのです。
どういうことかと言いますと、彼女は、全ての幼稚園児に義務づけられたキリスト教の日曜学校と「アーレント家のキリスト教徒のメイドの家庭礼拝から相当の影響を受け、祈りはキリストに捧げられるべきものだとフォーゲルシュタインに宣言するまでになった」(エリザベス・ヤング=ブルーエル『ハンナ・アーレント伝』晶文社 42頁)というのです。
その後、彼女は、例のメイド萌え男キルケゴールの著作に深く心を惹かれるようになり、それが大学での研究分野選択にも影響したとかいうのですが、やはりこれは一つの天命、メイドさんの導きというものでありましょう。
それにしてもホント、哲学者はメイドさんが好きですね。
メイドと深く絡んだ思想家だけを集めて、壮大なメイド哲学とかメイド哲学史とか作り上げることも、なんだか不可能でない気がしてきましたよ。
それどころか、今なら、メイドキングダムとメイド神殿が実在して世界中の偉人聖人が巡礼したって話だって信じられるような気が…。少なくとも哲学者は巡礼してたに違いないですよ。
参考資料
リュティガー・ザフランスキー著『ショーペンハウアー 哲学の荒れ狂った時代の一つの伝記』山本尤訳 法政大学出版会
遠山義孝著『人と思想77 ショーペンハウアー』 清水書院
エリザベス・ヤング=ブルーエル著『ハンナ・アーレント伝』荒川幾男/原一子/本間直子/宮内寿子訳 晶文社
『スーパー・ニッポニカ Professional for Windows Ver.1.0』
赤衣丸歩郎著『仮面のメイドガイ』富士見書房
関連記事(2009年5月14日新設)
メイド哲学史断章その3 メイドと主人とラノベオタな俺のちょっと危険なアウフヘーベン
高貴な殿方は何故メイドさんを愛するのか、合理的に(?)考える
萌える大英帝国 セーラー服&メイド服成立史
れきけん・とらっしゅばすけっと/京都大学歴史研究会関連発表
偉大なるダメ人間シリーズその1 キルケゴール(当ブログ内に移転しました)
http://trushnote.exblog.jp/14529065/
なお、この発表の続編が当ブログ内にあります
もっともっとメイドさんとキルケゴール 続・偉大なるダメ人間シリーズその1
http://trushnote.exblog.jp/8194144/
引きこもりニート列伝その25 キルケゴール
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet25.html
引きこもりニート列伝その10 マルクス
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet10.html
リンクを変更(2010年12月8日)
この他、マルクスなんかもメイドに手出しした哲学者に分類しても良いかも知れません。
それどころか、メイドさんと哲学者の縁はあまりにも深く、メイドさんと深い関わりを持った哲学者は彼ら三人には止まりません。
今日はそんなメイド哲学者をさらに二人、紹介したいと思います。
まず紹介するのはドイツの哲学者ショーペンハウアー(1788~1860)、理性重視の近世ヨーロッパ哲学を批判して、意志に重点を置いた哲学を唱えた人物です。戦前の日本でデカルト、カントと並んで学生によく読まれた哲学者だそうです。
さて、このショーペンハウアーは、若き日の1814年に文化施設の充実したドレスデンへと移住、その都市での充実した数年間の生活は、主著の『意志と表象としての世界』(1818年)へと結実していきます。ところが、ショーペンハウアーのこの実り豊かな時期は、別の意味でも実りをもたらしています。
なんとこの頃、ショーペンハウアーはメイドにどっぷりと惚れ込んで、色恋に長けた友人から手紙で、「君はどうもすっかり惚れ込んだようだね。やるものじゃないか。昔取った杵柄で君に言っておくが、君の彼女の貞節がいつまでも続くことはまずありえないと思いたまえ。いい加減に幻想は卒業したまえ」(リュティガー・ザフランスキー『ショーペンハウアー 哲学の荒れ狂った時代の一つの伝記』法政大学出版会 334頁より)と忠告されるような有様だったのです。
そして、この「ドレースデンの女中との情事が大変な結果を引き起こして」(同書 416頁)しまい、ショーペンハウアーにちょっとばかり厄介な実りをもたらされることになります。すなわち、女中が妊娠、1818年にショーペンハウアーには娘が誕生することになったのです。
これについて少し後に相談を受けた彼の妹は仰天し、1819年4月27日の日記に「ドレースデンで兄が付き合っていた女が妊娠している。なんとしたことか」(同書 同頁より)と記しています。富裕な出身の彼が下層階級出身の女中と結婚するなど考えられない時代ですから、なかなか厄介なことになってしまったわけです。
実はショーペンハウアーは女性蔑視で有名な人物で、女は背が低く肩幅が狭く尻が大きく足の短い美しいとは言えない種族だとか言ってるわけなのですが、そんな彼を、身分の隔たりを越えてすっかり惚れ込ませ、墜としてしまうメイドさんの力は、とってもとっても偉大ですね。
なお、ショーペンハウアーはこの娘の父親であることを認め、経済的な支援を行いましたが、1919年夏に娘は死亡したそうです。
つぎに紹介するのはアーレント(1906~1975)。ドイツ生まれのユダヤ人女性で、全体主義の問題に取り組んだ政治哲学者です。
彼女はその幼年時代、ドイツにおけるユダヤ教指導者の一人フォーゲルシュタインに心酔し、彼の宗教教育を受けていました。彼女のフォーゲルシュタインに対する熱の上げようは凄まじく、なんと彼女は大きくなったら彼と結婚するのだと宣言してさえいたのです。
ところが彼女は、いつしかユダヤ教の指導者たる彼に向かって、祈りはキリストに捧げられるべきだと、反抗的な宣言を行うに至ります。
そして彼女のこの精神的転向、恋慕していた民族的宗教指導者に対する精神的反抗をもたらしたものこそ、彼女の家に仕えるメイドさんだったりするのです。
どういうことかと言いますと、彼女は、全ての幼稚園児に義務づけられたキリスト教の日曜学校と「アーレント家のキリスト教徒のメイドの家庭礼拝から相当の影響を受け、祈りはキリストに捧げられるべきものだとフォーゲルシュタインに宣言するまでになった」(エリザベス・ヤング=ブルーエル『ハンナ・アーレント伝』晶文社 42頁)というのです。
その後、彼女は、例のメイド萌え男キルケゴールの著作に深く心を惹かれるようになり、それが大学での研究分野選択にも影響したとかいうのですが、やはりこれは一つの天命、メイドさんの導きというものでありましょう。
それにしてもホント、哲学者はメイドさんが好きですね。
メイドと深く絡んだ思想家だけを集めて、壮大なメイド哲学とかメイド哲学史とか作り上げることも、なんだか不可能でない気がしてきましたよ。
それどころか、今なら、メイドキングダムとメイド神殿が実在して世界中の偉人聖人が巡礼したって話だって信じられるような気が…。少なくとも哲学者は巡礼してたに違いないですよ。
参考資料
リュティガー・ザフランスキー著『ショーペンハウアー 哲学の荒れ狂った時代の一つの伝記』山本尤訳 法政大学出版会
遠山義孝著『人と思想77 ショーペンハウアー』 清水書院
エリザベス・ヤング=ブルーエル著『ハンナ・アーレント伝』荒川幾男/原一子/本間直子/宮内寿子訳 晶文社
『スーパー・ニッポニカ Professional for Windows Ver.1.0』
赤衣丸歩郎著『仮面のメイドガイ』富士見書房
関連記事(2009年5月14日新設)
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れきけん・とらっしゅばすけっと/京都大学歴史研究会関連発表
偉大なるダメ人間シリーズその1 キルケゴール(当ブログ内に移転しました)
http://trushnote.exblog.jp/14529065/
なお、この発表の続編が当ブログ内にあります
もっともっとメイドさんとキルケゴール 続・偉大なるダメ人間シリーズその1
http://trushnote.exblog.jp/8194144/
引きこもりニート列伝その25 キルケゴール
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet25.html
引きこもりニート列伝その10 マルクス
http://www.geocities.jp/trushbasket/data/nf/neet10.html
リンクを変更(2010年12月8日)
by trushbasket
| 2008-04-19 21:07
| My(山田昌弘)








