房中術におけるロリコン及び男性の徳について
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「医心方」とは、十世紀後半に丹波康頼が中国の医書を編纂して作った日本最古の医学書です。その中に、房中術も含めた様々な中国における医学的知識が掲載されているのです。当時の中国医術には、房中術も欠かせない重要項目でしたからね。それによれば、「玉房指要」では関係する相手について以下のように述べられているそうです。
ただ年が若くて、まだ乳房も発育していないような乙女であって、肉づきの豊かな女が望ましいのである。このような条件の女七、八人と接触することができるならば、それは心身にとって大いに益あることだといえるであろう。(「日本の性学事始」P19)
…ということは、まだ第二次性徴を十分には迎えていないような段階の相手が望ましいと言う事ですかね。もう少し具体的な事が分かる部分を更に探してみましょう。「玉房秘決」には、以下のような記述が存在するそうです。
男子が性生活によって大いなる益をえようとするならば、男女関係の(正しい)方法をまだ知らない女をえることである。また処女と関係すべきである。顔色もまた処女のごとくでなければならない。しかしいかに若い女がよいといっても初潮前の女でないことが必要である。もし十四、五から十八、九までの女をえたならば、益は大である。(同P27)
女と接しようと願うのならば、年若くて乳がまだ盛り上らず、肥っていて、髪の毛が細く眼が小さく、眸の白黒のはっきりした者で、顔や体がうるおい滑らかで、言葉と声が調和して出る者を選ぶがよい。(同P88)
以上から判断すると、初潮は迎えているがまだ乳房が発達していない若い処女が良い、という事ですね。…該当する年頃を考えると、これぞまさしくナボコフ先生が言うところのニンフェット。その他の容姿で必ずしも一致していない面がなきにしもあらずですが、細かい事は気にするな。以上からすれば、古代中国における房中術という視点のみからすれば、ロリコンは不老長生のため適した優良男子という事になりそうです。…ただし、精を漏らしてはダメだそうですけどね。
あと、折角なので房中術関連でもう一つ余談を。これも「玉房秘決」からなのですが、房中術を極めると人が重んじるべき「五常」(仁、義、礼、智、信)の徳が男根にも備わるのだそうです。奥義を悟った人の男根は「体の中のかくれた場所に深く入って節を保って孤高を守り、心に最も高い徳を保ち、行動するのには自分だけの勝手なふるまいがない」(同P40)状況になるとか。で、「これを相手に与えようとする」のが仁であり、「中に空間がある」のが義、「端の方に節がある」のが礼で、「接しようと欲する心があれば起ち、欲しなければ止む」のが信、「接して適当に低仰(ひくくし、また高くすること)し、むりせぬ」のが智なんだそうです(いずれも同P40)。確かに性欲をコントロールできた様ではあるんでしょうが、これが「徳」とは物は言いようですね。
以上、今回の内容をまとめますと、
・ロリコンは(漏らさなければ)房中術的観点からに限って言えば適している
・房中術を極めれば男根にも徳が備わる
というわけで、今回も大変ためになるお話でした。
【参考文献】
日本の性学事始 風俗原典研究会編 河出文庫
東洋医学 大塚恭男 岩波新書
医学の歴史 小川鼎三 中公新書
歴史研究会・とらっしゅばすけっと関連発表:
「日本前近代医学史」
(http://kyoto.cool.ne.jp/rekiken/data/2000/000602.html)
「偉大なるダメ人間シリーズその1 キルケゴール」(当ブログ内に移転しました)
(http://trushnote.exblog.jp/14529065/)
「偉大なるダメ人間シリーズその3 モルトケ」(当ブログ内に移転しました)
(http://trushnote.exblog.jp/14529098/)
参考:ロリコン関連記事
「偉大なるダメ人間シリーズ番外 ロリコン英雄伝」
「続ロリコン とある架空世界のお話」
「穴があったら入りたい 尻込みするほど恥ずかしい古代ギリシア文化史」
「ロリコン外伝―南北朝前史―」
「ロリコン教の教祖様は少女の劣化という難問に、いかなる方法で対処したか? 付 ナボコフ、メイドを謳う」
「ロリコン神、乳を語る」
「大和心はロリ心 ~ロリペド輝く『大和物語』~」
参考:男根関連記事(宦官関連含む)
「『明史』(翻訳)の見所」
「男のしるし、皇統の危機」
「タマはなくても矢弾は撃てる、ナニは無くとも槍は立つ いけいけ宦官大将軍」
「羅切-日本における宦官的風習について および 中国の宦官名将たち」
「神様に、ファインプレイを―神道における祭祀への一考察―」
「『男のしるし、皇統の危機』訂正事項」
「『十七か、聞くだけで勃起するわい』―日本の性器信仰―」
「世界は『男性』の大きさを歴史的にどう見ていたか」
「『世界は「男性」の大きさを歴史的にどう見ていたか』補足―我が国の場合―」
関連サイト:
「天晴れ!妖しの遊戯」(http://www2.plala.or.jp/baian/seres/index.htm)より
「『房中術』ってホント?」(http://www2.plala.or.jp/baian/seres/bou.htm)
「ふしぎ遊戯」等、渡瀬悠宇先生作品のファンサイトなんだそうです。房中術について分かりやすくまとまっているのでリンクしました。
リンクを変更(2010年12月8日)